JICA海外協力隊の世界日記

セントルシア便り

隊員Gのセントルシア日記_77 〜Roman Catholic〜

 首都カストリーズにあるカトリック大聖堂で行われた、4月5日のイースターのミサに参列しました。異文化体験が目的であり、12月25日のクリスマス、1月1日のニュー・イヤーズ・デーのミサに続いて3度目になります。過去2回と大きく違うところは、アスペルジェスという、聖水を信者に振りかける儀式があったこと。イースターはイエス・キリストの復活を祝う日なのですが、聖水による洗礼は、新しい命の誕生を祝福しているとのことでした。(私も、聖水を振りかけて頂いたんですよ。)グッド・フライデーとイースター・マンデーに土日が挟まれた、4連休のイースター休暇中ということもあり、たくさんの人々が家族と共に参列していました。従って、子どもの参列者も多く、特に司祭は幼い信者や若い信者を集め、時間をかけて彼ら、彼女らのために祈りを捧げていました。「輝きますように」と、聖水を降りかけながら。

 不思議なことに、フランス語圏や、スペイン語圏の国々に派遣されている隊員仲間による、復活祭関連のソーシャル・メデイアの発信を見ると、「イースター」という単語は一切使われていません。「イースター」の語源については、諸説があるようですが、有力説は「(異教の)春の女神」とのことです。また、有名な「イースター・エッグ」や「イースター・バニー」についても、命の再生の象徴として、復活祭と結びついただけで、キリスト教的な意味合いは全くないとのことです。キリスト教信者も、それぞれの国や地域において、異教や自然信仰などの影響を受けながら、豊かな生活文化を形づくっているようですね。

 さて、この大聖堂において、2000年大晦日のミサの最中に、とても残虐な事件が起こりました。武装した男たちが、大聖堂に乱入し、「カトリック教会の腐敗と戦う」という大義を掲げて、無差別テロを行ったのです。結果として、司祭と修道女が亡くなる、という悲惨な出来事となりました。本来ならば、救いを求め迷える人々が、一日24時間いつでも訪ねることのできる教会だったのですが、この事件後、夜は門を閉じざるを得なくなった、ということです。それから四半世紀以上が経過した今も、ぶどう酒とパンという聖体拝領の儀式は、何事もなかったかのように厳格に行われています。その上で、信者にとってより喜びに満ちたミサとなるように、リベラルな工夫も凝らされている、というのが私の率直な感想です。

 調べてみると、面白いことが分かりました。1960年代にバチカンの方針変更があったのです。ラテン語中心から、各国の言語が使われるようになったこと。そして、ヨーロッパ音楽中心から、各地域の文化が尊重されるようになったことです。その結果、豊かな黒人文化にあふれるカリブの教会では、幸福感や開放感、コミュニティーの一体感を歌で表現し、祈りと結びつけるようになったのです。そう言えば、ミサの中で、司祭は幾度も繰り返し、参列者に「Are you happy?」と問いかけていました。奴隷制度や植民地支配の苦しい時代を乗り越える中で、信仰は大きな役割を果たしたことでしょう。「幸福感」や「開放感」や「一体感」は、人々の希望そのものであり、歌うことが心の拠り所となっていたのかもしれませんね。

 私も、「Angels We Have Heard on High」や「O Come, Let Us Adore Him」などのスピリチュアル・ソングが好きで、自宅でもよく聴いています。歌詞に少し違和感を感じる時もたまにあるのですが、リズムや旋律に導かれるようにして、次第に高揚感に包まれていきます。どうやら、これらの歌には不思議な力があるようですね。異教徒の私ですら、心を動かされるのですから、信者の感動を計り知ることはできません。羨ましい限りです。

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