2026/04/22 Wed
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隊員Gのセントルシア日記_75 〜Gender〜

私の配属先であるSir Arthur Lewis Community College(SALCC)が創立40周年を迎えました。カレッジの全ての教員やスタッフを集めて開催された記念ミーティングにおいて、司会者が「SALCC出身者はどのくらいいますか?手を挙げてください!」と投げかけると、なんと数多くの参加者が手を挙げるではありませんか。人口約18万人の小さな島国の唯一のコミュニティー・カレッジですので、あり得る話なのかもしれません。しかし、1億2千万が暮らす日本からやってきた私にとっては、驚きがありました。(私が奉職していた私立学校の場合、卒業生出身の教員は、多くて2〜3名でした。)後日、懇意にして頂いている学部長に尋ねると、やはりカレッジの卒業生で「私は、ここで3つの学位を取ったの。カレッジのおかげで現在の私がある、と思っているわ。だから、恩返しのつもりで、今カレッジに勤めているのよ。」という話でした。多くの愛校心あふれる卒業生によって、学生たちの学びが導かれ、セントルシアの未来をつくる資質が育てられています。SALCCの底力を垣間見て、圧倒されるような気持ちになりました。

さて、第73話にもご登場いただいた元校長先生によると、カレッジ(短期大学)教員の男女比は、およそ6割が女性で、4割が男性とのことです。そして、セカンダリー・スクール(中学校・高等学校)教員になると、女性7〜8割、男性2〜3割。プライマリー・スクール(小学校)教員では、女性8〜9割、男性1〜2割だそうです。また、女性教員が多い理由についても、明快な答えが返ってきました。1つ目は、生徒・学生を育てる職業である教員には、母性をもつ人が適していること。もちろん、母性や父性はグラデーションみたいなもので、男性にも母性はありますし、女性の中にも父性は存在します。事実、私の教員時代には、教員は母性と父性の両方を併せもつことが大切、と教えられました。ただし、やはり母性豊かな女性教員に対して、生徒や学生は母親像を重ねやすいのでしょうね。カレッジでも、特にストーリー・テリングの上手い女性教員には、人気が集まります。(学生が甘えているように、見えないでもありませんが…)2つ目は、教員はセメスター・ブレイクなどの休みが多いこと。子どもをもつ女性にとっては、やはり子育てと教員生活は両立しやすいのでしょうね。(例えば、夏休みにもプール指導や補習、クラブ指導のある日本の教員には、一概に両立しやすい環境が整っているとは言えませんが…)そして、3つ目は、少しショッキングな話ですが、教員の給与が相対的に低いこと。男性の中には、教員を選ばずに、より待遇の良い職業を選ぶ傾向があるというのです。ここは、セントルシア政府の考え方が、大いに反映されるところです。教職出身の私としては、「未来のセントルシアを支える生徒・学生の教育に投資せずに、どこに税金を使おうと言うのか!」と、声を大にして言いたいところです。(男性教員を増やせ、という意味では決してありません。悪しからず…)

セントルシアには、セカンダリーの男子校が、1校だけあります。Saint Mary’s Collegeです。とても優秀な学校で、セントルシアの二人のノーベル賞受賞者、サー・アーサー・ルイスとデレック・ウォルコットが、ともに卒業しています。「二人のノーベル・ローリエイトを輩出した学校とは、一体どんな学校なのか」と、海外からも見学者が訪れるようです。ところが、多数は卒業後、海外大学に進学すると言います。そして、多くの卒業生が、今も海外で活躍しているのです。セントルシア国内で、男性に人気のある職業といえば、建設業、観光業、農業、漁業など、肉体労働を伴うことが少なくないようです。従って、アカデミックな方向性を維持しつつ、成功したいと考えるならば、やはり海外という選択肢を選ぶことになるのかもしれません。逆に、女性が就く職種として多いのは、教育、医療、福祉、接客、事務などのようです。社会で活躍する女性が、男性と比べて相対的に多い、と感じるのは、この職種の違いなのかもしれませんね。
Saint Luciaは女性の守護聖人ということで、セントルシアの国自体をShe やHer という代名詞で受けることがあります。もしかすると、このバイアスがかかっているのかもしれませんが、カレッジで学生たちに接していると、数で勝る女子学生の方が、男子学生よりも元気で、明るく、たくましく見えます。社会の縮図をカレッジに見るような心持ちです。
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