2026/05/11 Mon
活動 自然
災害対応の最前線で考えたこと-ソロモン諸島・国家災害管理局での2年間 -

ソロモン諸島は、青い海と豊かな自然に囲まれた南太平洋の島国です。 しかしその一方で、地震や津波、サイクロンなど、自然災害と常に隣り合わせの国でもあります。
私はこの国の国家災害管理局(NDMO)に配属され、防災・災害対策を担当するシニア海外協力隊員として、2年間活動してきました。
私の主な活動は、災害が起きた際に国としてどう動くかを定めた計画や運用手順の見直しでした。 具体的には、国家災害管理計画や、災害時に立ち上がる「国家緊急オペレーションセンター(NEOC)」の運用ルール、関係機関の役割分担などを整理しました。
特に力を入れたのが、NEOCをいつ・どのような条件で立ち上げるのか、そして長期間の災害対応でも職員が疲弊しない人員配置についてです。 災害は一日で終わるとは限りません。体制を整えることは、現場の職員を守ることにもつながります。

実際の災害対応から見えた課題
活動期間中、実際に災害が発生し、私もオペレーションチームの一員として対応にあたりました。
そこで強く感じたのは、 各州から被害情報が集まるまでに、非常に時間がかかるという課題です。
首都ホニアラにあるオペレーションセンターだけでは、現地の状況を把握しきれず、適切な助言ができない歯がゆさを感じました。 「情報が届くまで待つ」のではなく、「情報が自然と集まる仕組みづくり」が必要だと、現場で痛感した瞬間でした。
ソロモン諸島で活きる防災のかたち
ソロモン諸島では、ICS(インシデント・コマンド・システム)と呼ばれる国際標準の災害対応体制が導入されています。 これは、災害の種類に関わらず、役割を「指揮・実行・計画・後方支援・財務」の5つに分けて対応する仕組みです。
海外からの支援が入ることの多いソロモン諸島にとって、ICSは非常に相性のよい体制だと感じました。 一方で、日本のように高度なインフラや情報網を前提とした防災システムは、この国ではそのままでは機能しません。
「日本のやり方を教える」のではなく、 この国の生活や環境に合った防災とは何かを一緒に考えることが大切だと、活動を通じて学びました。

日常に寄り添う国際協力
NDMOでは、国連や赤十字、国際NGOなど多くの外部機関から支援を受けています。 ただし、それらの支援は短期間で終わることも多く、どうしても一過性になりがちです。
その点、JICAボランティアは日常業務に入り込み、同じ目線で考え、悩み、改善を積み重ねる存在です。 計画や手順書も、実際の災害対応を経て何度も見直していく必要があります。 そのプロセスを一緒に担えることこそ、協力隊の役割だと感じました。
この経験を、次へ
2年間の活動は、私にとって非常に貴重な経験でした。 ICSと日本の防災体制、その両方の長所と課題を、現場で実感できたからです。
帰国後は、この経験を防災教育や国際協力の現場で伝えていきたいと考えています。 災害は、どの国でも起こり得ます。 だからこそ、それぞれの国に合った防災のかたちを考え続けることが、これからも大切だと思っています。
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