JICA海外協力隊の世界日記

ソロモン便り

糖尿病と足の傷...ソロモンの医療現場で私たちができること

(写真:患者さん搬送の様子)

Leane!!(こんにちは)

私は、看護師としてソロモンに派遣となっている杉原ひとみと申します。

今日はソロモン諸島の医療現場から、生の声をお届けしたいと思います。

日本とソロモン諸島での医療現場での大きな違い。

それは、「救急車」の存在です。

日本では、急病や怪我に見舞われた際、119番に電話すれば救急車が駆けつけてくれます。

しかし、ソロモン諸島ではまだまだ救急搬送システムがとても脆弱です。

「え、救急車がこない?じゃあ、どうするの?」

そう思われた方もいるでしょう。

私が住む島では、病院から直接患者さんのもとへ行きます。

もちろん、緊急度が高い場合は、家族や近隣の人が車やボートで病院まで搬送することもありますが、私たちが往診に行くケースも少なくありません。

(写真:縫合処置の様子)

先日、私たちが向かったのは、糖尿病を患う男性の家でした。

足に怪我をしてしまい自宅で歩行困難となってしまったとのこと。

糖尿病の方にとって、足の傷は本当に厄介なんです。血糖値が高い状態が続くと、免疫力が低下し、傷の治りが極端に悪くなります。

最悪の場合、感染が広がり、切断という選択を迫られることもあります。

この国では、多くの人が普段からビーサンで生活しています。

舗装されていない道も多く、どうしても足に小さな傷ができやすい環境です。

その小さな傷が、糖尿病の方にとっては大きなリスクになりかねません。

患者さんの足の傷は、やはり感染を起こしていました。

すぐに病院での処置が必要だと判断し、付き添いの家族と一緒に病院へ。傷口を丁寧に洗浄し、縫合を行いました。

もし日本であれば、すぐに救急車が来て、もっと早く適切な治療を受けられたのに、と考えてしまいます。

(写真:同僚達。セルフィ―撮影をお願いすると必ず手が映り込みます。w)

今回のケースを通して、改めてこの国の医療体制の課題を痛感しました。

救急医療のシステムが不十分であること、そして、糖尿病のような慢性疾患を持つ患者さんへの継続的なケアの難しさ。

そして、日本とは異なる価値観や文化があります。

しかし、患者さんの命と健康を守りたいという思いは、国籍は違えど私たち医療従事者にとっては共通であると信じています。

限られた医療資源の中で、できる限りのことを行い、一人でも多くの患者さんを救いたい。

その一心で、日々病院のみんなと活動しています。

このブログを通して、少しでも途上国の医療の現状を知っていただけたら嬉しいです。

そして、私たちが当たり前だと思っている医療環境のありがたさを、改めて感じていただけたら幸いです。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

それでは、また次回のソロモン便りをお楽しみに!

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