JICA海外協力隊の世界日記

ソロモン便り

田中先生のソロモン通信#13【クリーンナップ作戦〜美しいソロモンの自然を未来へつなぐために〜】

1.21クラスに届けた「ごみを捨てない心」

ホニアラ市内では、政府主催による学校対抗のクリーンナップコンペティションが開催されています。月曜日の全校集会では、校長先生からこの取組について紹介があり、その中で日本の話題にも触れてくださいました。

日本は「きれいな国」として知られています。ワールドカップでは、日本代表選手が試合後にロッカールームを清掃し、観客も自らごみを拾って帰る姿が世界中で話題となりました。

その話を聞き、改めて日本人として誇らしく感じるとともに、

「自分にも何かできることがあるのではないか…」

そこで私は、クリーンナッププロジェクトの一環として環境教育用のスライドを作成し、校長先生に提案しました。そして、小学部21クラスすべてを回り、ごみ問題についての保健授業を実施しました。

授業では、日本の紹介から始め、日本におけるごみ問題の歴史、世界で深刻化している海洋ごみ問題、そしてプラスチックごみが海の生き物へ与える影響について説明しました。また、海に流れ出たプラスチックがマイクロプラスチックとなり、魚を通して最終的には私たちの体へ戻ってくる可能性があることも伝えました。

特に、死んだクジラの胃の中から大量のごみが発見された写真を見せた際には、子どもたちも大きな衝撃を受けた様子でした。

授業では、

「未来のソロモン諸島をどんな国にしたいですか?」

と問いかけました。

そして、

「美しい海と豊かな自然に囲まれた国」

「ごみが散乱し、病気も多い国」

の写真を見せ、子どもたち自身に未来の姿を選んでもらいました。

すると、多くの子どもたちが迷うことなく美しい国の写真を選びました。

私は、「自分たちの国は、自分たちでつくるものだよ」と伝えました。 すると、子どもたちは真剣な表情で大きくうなずいてくれました。

最後に、「ごみを拾うことは面倒に感じるかもしれないし、誰も見ていないと思うこともあるかもしれない。でも、日本には昔から『おてんとうさまはいつも見ている』という言葉があります」と紹介しました。

これは、「誰も見ていなくても良い行いを続けていれば、それは必ず良い未来につながる」

という日本人が大切にしてきた考え方です。

今回の授業を通して、ごみ問題の知識だけでなく、自分たちの国や地域を大切にする心、そして誰かのために行動する心も子どもたちに届けることができればと。

2.学校をきれいにする6年生たち

授業だけで終わりではありません。

放課後になると、最高学年である6年生たちが中心となり、校庭や校舎周辺、ホールなどの清掃活動を行っています。班ごとに担当場所へ分かれ、一生懸命ごみを拾う姿が見られます。

学校にはまだ「ごみが落ちていたら拾う」という習慣が十分に根づいているとは言えず、気がつくと校内のあちこちにごみが落ちています。しかし、子どもたちは嫌な顔ひとつせず、黙々と清掃を続けています。

6年生には保健の授業の中で「最高学年として、低学年のよい手本になること」の大切さも伝えました。低学年の子どもたちがごみを捨てている場面を見かけたら、ごみ箱へ捨てるよう優しく声をかけることもお願いしています。その成果もあり、学校に落ちているごみは確実に減ってきています。

清掃活動中には、授業で学んだ内容を覚えている子どもたちもいます。

「このごみでクジラは苦しみ死んだんだね。」

そんな言葉を聞くたびに、授業の内容が少しずつ子どもたちの心に届いていることを実感します。

私は頑張る子どもたちに

「Good luck!」

と声をかけながら、一緒にごみを拾いました。

未来のソロモン諸島の美しい自然を守れるかどうかは、この子どもたちにかかっています。

そう思うと、私自身も自然と力が入りました。

3.変わり始めた学校、広がる環境意識

クリーンナップコンペティションをきっかけに、学校には少しずつ変化が見られるようになりました。校内ではごみの分別が始まり、ホールや校庭も以前よりきれいになっています。私が着任した当初と比べても、明らかに落ちているごみの量は減りました。

昼休みには、私が自主的にごみ拾いをしていると、一緒に手伝ってくれる子どもたちの姿も見られるようになりました。

昔のソロモン諸島では、限られた資源を大切に使いながら、自然とともに暮らしていました。しかし現在はプラスチック製品が増え、一度捨てられたごみは自然には分解されず、やがてマイクロプラスチックとなって環境中に残り続けます。この環境が変わったことを理解し、行動を変えていくことが重要です。

ごみ問題は、一つの学校だけの問題ではありません。地球全体に関わる大きな課題です。

今回のコンペティションが終わった後も、子どもたちに「自分たちの国を自分たちで守ることの大切さ」を伝え、ソロモン諸島の美しい海や豊かな自然が、未来の子どもたちへ受け継がれていくことを願い、今後も活動していきたいと思います。

(2026年1次隊 体育 北海道出身 田中 眞)

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