JICA海外協力隊の世界日記

スリランカ便り

第一章 協力隊に参加する決意【桃子の体験記】

はじめまして。元スリランカ隊員の倉田桃子(とうこ)です。「元」というのも、2025年5月15日に任期を終えて帰国し、筆を執っています。結論、私は青年海外協力隊になって、スリランカ隊員として活動できて、本当に良かったです。
今思うと奇跡のような2年間、私の協力隊としての活動の中身を、皆様にシリーズでご紹介できればと思っています。

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JICA青年海外協力隊としての2年の活動を終えて日本に帰国してから、今日で1週間が経った。帰国したら日本に慣れるにも少し時間がかかるだろうと思っていたが、意外とすんなり日常が戻ってきた。
つい先週まではスリランカでの生活が自分の日常で、日本に帰るのが寂しかった。スリランカで地に足ついて日々歩んできた感覚があった。ところが日本での日常を思い出してしまった今、スリランカでの生活はすでに別世界。濃厚だったはずの2年間が急に刹那に感じられ、夢でも見ていたかのようだ。

スリランカでの日々の前に、なぜ協力隊に参加したのかを書こうと思う。

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小さい頃から海外には興味があった。テレビで見る世界の風景や動物が好きで、いつか自分の目で見てみたいと思っていた。高校生になると、他の国では今も貧困や戦争で苦しむ人がいると聞いて心痛めた。大学生最後の春休みには一週間のボランティアツアーでカンボジアに行ってみたりもした。でもそれ以上踏み出せなかったのは、英語が大の苦手だったからである。海外で活動したいという気持ちは胸の奥にしまいこんでしまった。

私は大学を卒業後、日本マクドナルド株式会社の社員として東京都内の店舗で副店長や店長として働いた。学生、社会人、主婦、シニア、外国人、年齢も背景も違う様々な人とともに仕事をし、地域のお客様のために仲間とともに店舗をつくる仕事は、大変だがとてもやりがいのある仕事だった。そんな中、海外の異常気象により原材料の輸入遅延、台風による河川氾濫と臨時休業、コロナ禍での店舗運営など、日本は地球の一部だと実感し、それらが日本社会に与える影響を目の当たりにする場面があった。「日本だけではなく世界のことをもっと知りたい。」しまいこんでいた好奇心を思い出し、人生の方向転換だと感じた私は、8年勤めた会社を辞めた。

仕事を辞めたものの次を考えていなかった私。具体的にどうしたいのか。
• 外国でも特に、開発途上国といわれる国を見てみたい
• 一定期間現地で生活し、人々と関わりたい
• 自分の英語力は不安
いきなり仕事で海外に行くのではなく、まずボランティアはどうか。
「海外 ボランティア」とインターネットで検索して最初に出てきたのが「JICA青年海外協力隊」だった。
• 開発途上国の現地で2年間生活し活動する
• 派遣前に現地語学訓練がある
私にピッタリ。しかも今まさに新規隊員募集中、書類の締め切りは… 残り1ヶ月!
「チャンスには前髪しかない。通り過ぎた後にはもう掴めない。」小さい頃から祖母に言われてきた言葉。今がその時か。
自分はどの道に進むべきか?自分にできるか?とそれまでかなり悩んできた私が、その時は「落ちてもいいから受けてみよう」とすぐ行動に出た。まずは説明会に行ってみた。そして締め切りギリギリまで何度も添削して書き上げた書類を提出した。2022年6月のこと。

その後、書類審査は無事通過、10月には面接試験にも合格した。
派遣先は… 第一志望だった要請内容で、スリランカへ。
しかしこの時、スリランカのことは何も知らなかった。要請内容ばかり気にして派遣国については何も考えていなかったのだ。この先何が待っているのかも、どうなるかも、全く想像できなかった。でも、自分で選んだ道だ、と誇りに思えたし、心の底ではワクワクがずっと止まらなかった。

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※写真は、長野県駒ヶ根訓練所でスリランカの言語シンハラ語の先生と撮った一枚。青年海外協力隊として派遣が決まると派遣前訓練があり、私は2023年1月から3月に参加しました。訓練中も記事を書いていたので、ぜひこちらからご覧ください。

https://www.jica.go.jp/domestic/komagane/story/g90d190000000jqs.html

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もし今、やりたいことがあるはずなのに踏み出せず悩んでいる人がいたら、頭ではなく、心に手を当ててみてほしい。
「迷ったときはね『どっちが正しいか』なんて考えちゃダメよ。『どっちが楽しいか』で決めなさい」(引用元:漫画「宇宙兄弟」5巻より、シャロンの言葉)

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