2026/02/18 Wed
活動
【ウガンダのお薬事情】#28 公立医療施設の薬の流通について

モエネ?(現地語で「Hello! How are you?」、「アミテ(I’m fine. と返事します)」)
カプチョルワで薬剤師として活動しています2024年度1次隊の浅井友紀子です。
カプチョルワにある公立病院とヘルスセンター(日本でいう診療所のような施設)で、必要な医薬品が必要な患者さんの手に渡るために、医薬品の適切な在庫管理の推進に取り組んでいます。
ウガンダの公立医療施設では、医薬品を含め医療サービスが患者さんに無料で提供されます。
しかし、実際のところは頻繁に医薬品等の在庫切れが発生するので、患者さんは私営の薬局に行って、全額自己負担で購入しなければなりません。
今回は、ウガンダの公立病院で使用される医薬品について、どのように病院が調達し、患者さんの手に渡るのか、そしてなぜ在庫切れが発生してしまうのかをお伝えします。
その前に、
日本では、医薬品卸売販売業者が各製薬企業から医薬品を仕入れ、病院や薬局は医薬品卸売販売業者から医薬品を購入します。医薬品卸売業者は複数社あり、各会社が各製薬企業から医薬品を仕入れています。病院・薬局は、それぞれの施設でどの医薬品卸売販売業者からどの医薬品を仕入れるか決定し、発注します。病院・薬局から医薬品卸売販売業者への発注は毎日行うことができ、納品も毎日してもらうことが可能です。病院・薬局では必ず患者さんの手に届くように、また不良在庫を抱えないように、消費量に基づいて発注業務を行っています。
そして、患者さんは、病院で処方された薬を3割(高齢者等では負担額が異なります)の自己負担で入手します。
ウガンダでは、
NMS(National Medical Stores)と呼ばれる機関が全ての公立医療施設に医薬品と医療材料(注射器、カーゼ、検査試薬など)を配送しています。
ウガンダ保健省が医療施設ごとに予算を割り当てており、各医療施設はその予算内でNMSから医薬品等を仕入れます。各医療施設は年に1回、消費数量をもとに年間発注計画を作成し、NMSへ提出します。さらに、その計画に基づき2カ月ごとにNMSへ発注しますが、2カ月ごとの発注は年間計画の±10%しか変更できないので、「今月は薬Aが多く使われて、薬Bがあまり使われなかったから、薬Bの発注量を半分にして、薬Aを多く発注しよう」というようなことができません。
このように、予算に限りがあるので、全ての医薬品を十分量確保することは出来ず、また、日本のように毎日発注して、納品される仕組みではないので、在庫管理がとても難しいです。さらに、発注できる薬は、ウガンダ保健省が決定しており、施設のレベルに応じて扱える薬が決まっています。
NMSからの配送は2カ月ごとで、上の写真はNMSから医薬品等が配送されてきた時の様子です。トラックから荷下ろしした後、検品を行います。(配送に来てくれたNMSスタッフが、私が検品しやすいようにと段ボールで机と椅子を準備してくれました。)2カ月分が一度に配送されるので、なかなか大変な作業です。
ここでも、配送がスケジュールより遅れる、発注どおりに配送されないという問題を抱えています。薬Cを10箱発注していたけれど、Cycle1、Cycle2で納品されず、Cycle3でまとめて30箱納品されるということもあります。また、Cycle2では期限の長いものが納品されたけど、Cycle3では前回より期限の短いものが納品されるということもあります。これも在庫管理が難しくなる要因の一つです。
このようにして病院が調達した医薬品等は、全て医療施設の倉庫(Main Store)に運び入れます。Main Storeでは、入出庫を管理するためのストックカードをアップデートし、棚に並べます。下の写真は、病院のメインストアの一室です。
施設内の薬局や病棟は、週に1回、Main Storeへ必要なものを発注し、患者さんの治療に使われます。在庫があれば、患者さんは無料で医薬品を受け取れますが、在庫がないと病院の外にある私営の薬局に行って、全額自己負担で購入しなければなりません。注射器やガーゼなども同じです。病院になければ患者さん自ら(家族)が私営の薬局で調達します。
驚くことにウガンダでは、医療用医薬品が街中の薬局で簡単に買えてしまいます。
なぜ、私営の薬局には薬があるかというと、JMS(Joint medical store)という私営施設を対象とした医薬品卸売業者の別の流通経路があるからです。
ただ、現金収入の少ない現地の人にとっては大きな負担です。購入できなければ、治療を継続することはできません。緊急の処置が必要な場合でも同じです。
少しでも多くの患者さんに必要な薬を届けられるようにしたいとは思いつつ、このように日本とウガンダでは医療制度が異なるため、どうすればウガンダに適した在庫管理ができるのか。。。と日々迷走しています。
まずは出来るところからと、施設内スタッフの意見が十分に反映された年間計画の作成、病院内の各部署からの適切数の発注、Main storeにおける適切な在庫管理、カプチョルワ県内全体での医薬品等の有効活用(他のヘルスセンターで余剰在庫を抱えていれば病院へ移送して使用)など試行錯誤しながら取り組んでいます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ケイタボーン(現地語で「Thank you」)
SHARE





