2026/10/21 Wed
任地
大阪の飴ちゃん文化がウズベキスタンでも?

執筆:岡本 大翔(JICA海外協力隊2026年度1次隊/食用作物・稲作栽培)
サローム!こんにちは。
ウズベキスタンの観光都市サマルカンドに農業隊員として派遣されています岡本大翔です。
ウズベキスタンに赴任して2カ月、サマルカンドに来て1カ月が経ちました。私は1年間の派遣なので残り10カ月を切っていると思うと焦燥感に駆られますね。
私は普段はサマルカンド国立大学の農業研究所に派遣され、アワやキビ、アマランサスといった国内ではあまり知られていない非従来型作物の最適な栽培方法の確立や普及を目的に日々活動しています。日本では十六穀米に入っていたり、最近では“スーパーフード“なんて呼ばれたりしていますね。皆さんもスーパーでぜひ手に取ってみてください。
さて、今回はそんな活動の場から少し離れて、サマルカンドの街で暮らす中で日々圧倒されているウズベキスタンの方々の距離感と温かい日常についてお話しします。
任地に来てまず胸を打たれたのは、ウズベキスタンの挨拶とおもてなしです。ウズベキスタンの朝は丁寧な挨拶から始まります。男性同士は手を胸に当てて相手の目を見つめ、右手で力強い握手を交わします。「調子どう?」「よく寝れた?」「疲れてない?」「仕事はうまくいってる?」「家族は元気かい」などなど。ただ「おはよう」ではなく、相手とその家族まで気遣う言葉が畳みかけられます。形式的なお辞儀や社交辞令ではなく心から相手を
気遣う気持ちが朝の5秒ほどの挨拶に込められていて、異国で張りつめていた僕の気持ちをすぐにほぐしてくれます。
これは友達や同僚との挨拶にとどまらず、一歩街へ出ても同じです。配車アプリで呼んだタクシーの運ちゃんからもバックミラー越しに質問攻めです。「日本から来たんや!トヨタ!ホンダ!」「家族はどこにいるんや?」「結婚してるんか?」など質問のつぶてを浴びます。
市場を歩いていても、です。最初は強引な客引きやぼったくりを警戒していたのですが、そんな空気がなく、「おい兄ちゃん日本人か、コンニチハ!」「一旦これ食べてみ!」とおもてなし精神を感じます。市場には様々な果物、野菜などが山積みにされていて、いつもメロンやスイカ、桃などを店主がナイフで切り分けてくれて差し出してくれます。気づけば初対面のおじちゃんおばちゃんと世間話に花を咲かせているというのも日常茶飯事です。
職場に行くと学生や教授が「これ食べて」「お茶かコーヒーどっちにする?」などと、フルーツやお菓子、お茶を出してくれて一緒に食べながら作業します。相手を気遣う文化が素敵ですよね。僕も最近はフルーツやお菓子を持参してお返しするようにしています。
この姿がどうしても“大阪のおばちゃん“と重なります。初対面の相手でもカバンから飴ちゃんをくれるあの温かさ。ウズベキスタンでは老若男女問わず自然に行われていました。大学でも農場でも「これ持って帰り」「家で採れてん食べてみ」と、いっぱい持たせてくれます。
このウズベキスタンの人と人との温かい距離感の最たるものが、この1か月で3回も参加することになった結婚式でした。日本であれば数カ月前から招待状を受け取り、正装でかしこまって出席するものですが、ここではノリが違います。「知り合いの結婚式があるから
今から行こ」と当日に声をかけられて、ほぼ他人の僕でも自然に参加できます。彼らにとっては“知り合いの友達は立派なファミリー“なのでしょう。
ぎらぎらした大宴会場では500人以上が男女に分かれて円卓に座り、大音量のウズベクミュージックの生演奏が響いています。そして参加者は主役の新郎新婦に高砂から見守られながら音楽にのって踊ります。僕も顔も知らないおじさんと見よう見まねで踊ってみました。やってみると楽しく幸せな気持ちになりました。
さらに3回目の結婚式で、これは友達の結婚式だったのですが、普段通りみんなで楽しく食べて踊ってをしていると急に呼ばれて、「今日ははるばる日本からゲストが来ています。」と司会者に叫ばれました。突如マイクを渡された僕は打ち合わせも何もない、完全にぶっつけ本番のウズベク語スピーチを任されたのです。ド緊張の中、拙いウズベク語で祝福の挨拶と感謝を伝えました。伝わったかどうかはわかりませんが、会場からは大歓声でその後全く知らない人たちから何度も話しかけられました(爆音の音楽のせいで何もわかりませんでしたが)。
突然の無茶ぶりがあったりウズベク人の迫力にたじろいだりすることも多くて日々驚きの連続ですが、そうして圧倒されながらも、一緒にいて居心地が良いウズベク人の情の厚さを、いつか皆さんにも体感してほしいです。
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