JICA海外協力隊の世界日記

バヌアツ便り

アラカン隊員のバヌアツを行く~バヌアツの学校~(#2 野田順子/職種:小学校教育)

“Glad tumas blong lukim yu bakegen!”(また会えて本当に嬉しいです!) 

 Pango小学校での活動も本格的に始まり、濃い毎日を送っています。Pango小学校は正確にはPango Centre Schoolといって、1年生から10年生まで(日本の高校1年生)の約500人が通う公立のEnglish schoolです。バヌアツは公用語としてビスラマ語、英語、そしてフランス語があります。公立学校も英語を主として使うEnglish schoolとフランス語を主として使うFrench schoolに分かれます。公用語が三言語あることも驚きですが、それに合わせて公立学校も2パターンあることに日本との違いを感じます。もっと驚くべきことは、公用語とは別に地域ごとに方言があることです。その方言も日本で言うそれとは違い、言語として全く別言語になります。つまり、ほとんどのバヌアツの人はマルチリンガルなのです。大人になるまで日本語だけで育ってきた私にとっては、自然に数言語操るバヌアツの人々の脳の構造がとても気になってしまいます。

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 さて、私が活動するPango Centre School に話を戻します。日本でいう小学生は1学年2クラス60名〜70名近く在籍してします。毎週月曜日の朝にはSchool Assemblyがあり、先生の講話やお祈りがあったり、讃美歌をみんなで歌ったりします。7時半始業となっていますが、のんびりした南国なので、その時間にみんなが揃うことは、ほぼありません。時間に関してはとても緩やかではあります。8時から授業が始まり、授業の初めには必ず、お祈りをみんなでします。―「今日、みんなでこうやって学べることに感謝をします。」―私はこのお祈りの言葉を聞くと、何だか熱いものが込み上げてきます。日本では学べることが本当に当たり前になっていて、こんなことを思ったことはなかったからです。お祈りの最中、薄目を開けたり、隣の子にちょっかいを出したりする子達もいますが、こういうお祈りから学校生活が始められるのって、素直に素敵だなぁと思います。

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 小学校によって時間割は違うようですが、配属先では8時から10時までが英語の科目になります。その間、特に決まった休み時間はないので、子供達だけならず、先生さえも集中力が続かないこともあります。私はそれを逆手に取って?、英語の時間ですが、算数の指導にちょこちょこ入らせてもらっています。例えば、子ども達には「10と2でいくつ?」というのが、なかなかイメージがつかないようなのですが、「10(じゅう)と2(に)で12(じゅうに)」と言葉そのものでその数を表せる日本語は、改めて素晴らしい言語だなぁと思いました。日本では生活の中で自然と身につけられる、数の概念である一対一対応ですが、今はそこを重点的に指導していこうと思っています。

 10時に1時間目が終わると、30分の休み時間になります。この時間は、ドーナツやポップコーン、バナナのココナッツミルク煮のようなアイランドカカエ(バヌアツの食べ物のこと)が食堂に並び、子供達はお金を手にあれやこれや買って食べます。一応、11時半からがランチタイムとなっていますが、この時間にお弁当を食べる子もいます。日本のようにみんなで席について給食という形ではなく、とてもフレキシブルになっています。そして、休み時間はどんなに暑くても、どの子達も校庭を走り回って遊びます。時には野良犬達も一緒に走り回る光景は、幸福度世界一になったこの国の片鱗が見られます。

 学校の終業は14時半で、子供達はビーチに行って泳いだり、サーフィンをしたりします。次の日の授業準備を終え、夕方近くに歩きながら帰る途中、「ミセス・ジュンコ〜」と、子供達が駆け寄ってハグしてくれるのですが、それが私の至福の時間です。活動でうまくいかない時でも、こうやってハグされると、「今日も結局、幸せな一日だったなぁ〜」で思うことができます。バヌアツ愛が止まらない毎日です。

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