2025/04/25 Fri
活動
♯20 ベトナムの就学前教育


Xin chào mọi người!!!(皆さん、こんにちは!)
ベトナムの林です。
私の配属先では、保育園と幼稚園の機能が両立されている保育幼稚園(Trường mầm non)を運営しており、就学前の教育も実施しています。ベトナムには日本とは違う教育制度があるため、今回は、ベトナムの就学前教育について、簡単ではありますがご紹介したいと思います。


【ベトナムの教育制度】
2019年に改正されたベトナム教育法(施行:2020年7月1日)によると、ベトナムでは未就学児(5歳)~中学生(15歳)までの10年間が義務教育となっています。(しかし、卒業(修了)が義務付けられているのは、初等学校のみ)ベトナムの教育理念は「マルクス・レーニン主義とホーチミンのイデオロギーを基礎とした、大衆的、国家的、科学的、現代的な社会主義教育を実現すること」とされています。加えて、日本と同様に「インクルーシブ教育システム(※)」を掲げており、国民全体の教育水準向上と社会の発展を目指しています。
※「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、署名時仮訳:包容する教育制度):人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。(引用:共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告) 概要|文部科学省))
【ベトナムの就学前教育の種類】
ベトナムの就学前教育は、①幼稚園(Trường mẫu giáo:対象年齢3歳~6歳)、②保育園(Nhà trẻ:対象年齢3~36ヵ月、ただし保育園の多くは13ヵ月以上、一部のみ対象が6ヵ月以上)、③保育園と幼稚園の教育を一貫して行う日本で言う認定子ども園(Trường mầm non(以下、マムノン))の3種類があります。以前は、家族や近くの親戚に自宅保育してもらう子どもが多く、就学前教育を受ける子どもは少なかったですが、教育訓練省の最新データによると、ベトナム全体で510万人以上の未就学児が、15,256の幼稚園、17,444の保育園、マムノンに通園しており、3~5歳の就学(就園)率は93.6%に達しています。5歳のみの就学率に至っては、2016~17年現在で既に98.75%に達しています。ベトナム政府は、幼児教育はベトナムの国家教育制度、人的資源の開発と国民の発展戦略において特に重要な役割を果たしていると考えており、2030 年までに義務教育を3歳から開始する予定であり、教育により一層力を入れていこうとしています。
(写真:配属先のマムノンの始業式での一場面)


【カリキュラムの特徴】
- ベトナム教育訓練省は、健やかな心と体を造る教育を行うことを大切にしており、アルファベットの形や読み方を除き、幼稚園に対して文字教育は行わないよう指導しています。しかし、都市部では多くの保護者が入学前に文字を教える塾に子どもを通わせています。
- 外国語教育は、外国語に慣れ親しむ目的であれば認められており、歌やゲーム、イラストを通した教育が実施されています。
- 公立校は基本的に居住地域により割り振られますが、公立外に通う園児も多く、公立校の中にも先進的教育プログラムを取り入れているところがあり、地域外からの園児も受け入れています。
【課題】
・山間地域など、僻地に住む子どもの中には就学前教育を受けることができない子もおり、今後そのような子どもも就学前教育を受けることができるようにすることが課題となっています。
・働く教員はほぼ全員が女性で、国が定める資格要件では高卒に加え2年間の養成教育を受けることが必要要件となっています。近年は保育園・マムノンでは7割以上、幼稚園では9割以上が有資格者となっているそうですが、待遇等の問題により、中にはまだ無資格で働いている教員もいるそうです。
・保育内容は2003年から改訂されており、3歳未満は健康や基本的生活の指導、遊びが中心であり、3~5歳は遊びを通じた学習、身近な人や環境を題材にした学習などが行われています。教員養成校でその理念は教えられていますが、教師の裁量で一方的な授業が行われている所もあり、子ども中心の教育を実施することも園によっては課題となっています。
(写真:配属先では、小さいうちから瞑想の時間があります)
いかがだったでしょうか?私が配属先のマムノンを見学した際、英語の歌を歌ったり踊ったり、英語に触れる機会が多かったこと、体験学習を大切にしていることがとても印象的でした。街を歩いているとたくさんの園があり、さすが子どもの多い国ベトナム(2024年の合計特殊出生率:1.91)だなと感じます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
Hẹn gặp lại nhé!!!(またお会いましょう!)
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