2020/04/02 Thu
着て、見て、健康啓発Tシャツ!
日本の皆さんマアユーハーポン!(ビサヤ語でこんにちは)
フィリピンで生活習慣予防の支援をしています、2018年度1次隊、赤木千香です。
今回は生活習慣予防の啓発の活動のうち、住民のウケがよかった取り組みをご紹介したいと思います。
それは、「Tシャツで健康啓発!!」 です。
私は配属先の要請で高血圧・糖尿病クラブの立ち上げと運営の支援をしています。
これは国の保健省が各町に必ず設置するように要請しているものですが、実際はクラブの内容や
運営の具体的な方法は示されていません、また、教材や資金の給付もありません。
つまり、各行政、自力でどうぞやってくださいというスタンスです。
高血圧・糖尿病クラブの発足や活動については過去の記事に書いていますのでご参照ください。
ではTシャツで健康啓発とは何ぞやと疑問に思った方もいらっしゃるかもしれませんが、名前の通りです。
Tシャツに健康的な啓発メッセージ、ここでは健康的な生活習慣のポイントを書いたTシャツを作成して、
クラブの役員や保健ボランティア、クラブのメンバーに配布しました。
1.健康啓発メッセージは?
これは何度も職場や同期のデザイン隊員に相談して、本当に悩みました。
その結果、表面は
写真↓↓↓


「PREBENTION IS BETTER THAN CURE!」(予防は治療より大切!)
に決定しました。
これは、私が活動してきた中で高血圧や糖尿病になっても無料の薬を飲めばいい!
と思っている人があまりにも多かったからです。
治療の前に予防を大切にしてほしいという思いを込めました。
裏面は具体的な方法を現地語で載せました。
写真はカウンターパートとTシャツを教材にして村の住民に啓発を行った際の様子です。
写真↓↓↓


裏のメッセージは8つです。
1.水分を沢山摂取しよう
(フィリピンは高温多湿の気候で尿路感染症になる人が多い)
2.ゆっくり食べよう、野菜と果物をしっかりたべよう
(フィリピン人は5分で終わる程早食い、また野菜の摂取不足)
3.毎日運動をしよう
(任地では農家さんが多く、仕事で動く人は多いがその分食べる量が多いのでバランスがとれていない)
4.血圧と体重を定期的に測定しよう
(村のヘルスセンターで実施しているが定期的に測定する人は少ない)
5.禁煙しよう
(安価な葉タバコを吸う人が多い、女性の喫煙は少ないがドライバーや農家、大工の男性が多い)
6.塩分と脂質の摂取を減らそう
(フィリピン人の食の嗜好は塩分たっぷりの乾燥魚と脂肪たっぷりの豚肉)
7.8時間しっかり睡眠をとろう
8.定期的にヘルスセンターに受診しよう
(住民は体の不調があると伝統療法師(無資格)に相談に行き、耳に水をいれて頭痛を直そう
という謎な療法を施される。医療の正しい知識を持つ身近な助産師や看護師、保健ボランティア
につなげることが大事である)
これらをカウンターパートに協力してもらい現地語で表記し、頭文字を合わせて
I ♡ MATAG-OB(マタグオブは任地の名前)にすると好評でした。
フィリピンでは町役場や観光名所など至るところにあるI ♡ 〇〇(地名)
というモニュメントをヒントにしました。
2.この活動を企画した理由
いくつかあります。
1)ボランティア調整員さんからのアドバイス
きかっけは、症状がない生活習慣病の啓発をすることは難しいと悩んでいたところ、
JICAのフィリピン事務所の担当の調整員さん(各国にボランティアの相談に乗ってくれたり、
業務調整をしてくださる調整員さんがいる)から
「住民が楽しめることから始めたらどうか」と助言を頂いたことでした。
2)フィリピン人はグループへの所属意識が強いため、Tシャツで組織の一体感を出せる
フィリピン人はグループ行動が好きな印象です。具体的には「家族」を始め職場や農家などの組織、
シニアシチズン(高齢者)のグループ、村の役員、保健ボランティア、先生、友人などのグループで
おそろいのTシャツを作り、誕生日や記念日を祝っている様子を見かけます。この特徴を活かし、
Tシャツを作成することでグループの一体感を出し、個人ではなく、住民同士で健康的な生活習慣につ
いて意識を高め合うことができると考えました。
3)着るだけで幅広い広告になる手軽さ
フィリピンでは貧しい家庭が多く、Tシャツの配布はとても喜ばれました。
高血圧・糖尿病クラブのメンバーがTシャツを着て歩くだけで、普段ヘルスセンターに来ない
幅広い層の住民に健康啓発を普及することができます。
3.奮闘エピソード
・発注やデザインを考えるのに配属先を巻き込むのが難しかった
私だけ(JOCV)の企画にならないようにTシャツの素材(綿か吸汗性か)、色、言葉、イラスト等、
職場の人の意見を聞くように努めたが収支がつきませんでした。
また、話がまとまった後に、最後は配属先のドクターの一言で180度、意見が変わりました。
あんなこんなで、なかなか意見がまとまらず注文まで約3か月要しました。
たかがTシャツかもしれませんし、作るのはとても大変でしたが
着ることで活用され、形として残る物なので教材として使用することはお勧めです。
皆さんの参考になると幸いです。
今回も最後まで奮闘記を読んで頂きありがとうございました。
奮闘はつづく!
SHARE