2020/02/21 Fri
文化
【文化】㉑サゴパームの兄弟:下
今回は「サゴヤシのカービング(Carving:彫刻)」について紹介します。
<これな~んだ?>
国内のお土産店を覗くと、たくさんの木彫りの工芸品を目にします。その多くは地元の森林から切り出された天然林樹種のほか、ローズウッド(赤)、ココナッツ(黄)、エボニー(黒)などカラフルな木材も加工されています。
中でも驚かされたのが、サゴヤシのカービングです。なんと、樹木の幹でも根っこでもなく、「種」を削って作られた直径約5cmの丸みを帯びた工芸品なのです。
サゴヤシの種は非常に堅く(それでいてちゃんと発芽する) 、加工後も容易に壊れることはありません。老木が枯死する際には数百個以上もの種を落とすため、地元の彫刻家たちはこれを有効利用しているようです。
サゴヤシは天然更新によって立木数や生育地域を維持するのが一般的で、人工的なサゴヤシの植栽・育林は難しいと言われているようですが、これはサゴヤシが「枯死する直前のタイミングでのみ種子を作る」という特徴を持っているからなのかもしれません。
通常の植物ならば一年に一度は種を生産しそうなものですが、サゴヤシは一生涯に一度だそうです…そう考えると、この数百個にも及ぶ種を何か大切に有効活用できれば良いな~と感じられますね。
<新産業創造か?>
ソロモン諸島では、中高校(Secondary School)や大学を卒業した人であっても就職できない、または就職しない人々も多いことから、新たな仕事・産業が望まれている状況です。
これらのサゴヤシ種カービングは、国内での一般的な価格は1個あたりSBD100~150ドル程度(1,500~2,000円程度)となっていて、海外からの旅行客などを中心に購入されているようです。
さてさて、サゴヤシの種を削って一儲けすることは可能でしょうか?
<写真の説明>
【写真①】サゴヤシの種(写真上)と完成したカービング(写真下)
→中央の「ぐい飲みタイプのおちょこ」は、日本での滞在歴があるソロモン人による製作
【写真②】彫刻刀を使って種を削る地元住民
→ライターなどの火を使って、必要に応じて「焼き目」を入れていく
【写真③】多くの種をつけるサゴヤシの老木
→枯死直前のサゴヤシの老木は数百個もの種を抱えている
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