2019/08/08 Thu
アルカージ
会長さんのお仕事密着
薔薇のない花農家―Part 2―
私の配属先である日本人会【アレシャンドレ・グズモン農村文化協会】の会長さんは花農家さんです。とある平日の一日、ブラジリアの街への配達に同行しました。
トラックにその日出荷する生け花を積み、朝8時ごろ、自宅があるブラズランディアを出発。
契約しているスーパーの各店舗、個人経営の花屋さんなど、たくさんの場所に停まっていきます。
実は会長さん、子どもの頃は、日系人の花とイチゴで有名なサンパウロ州のアチバイア市に住んでいて、日本人のお父さんはやはりそこで花を育てていました。「霜が降りると花が咲かないから、寒い夜にお父さんを手伝って一緒に火を焚いた」という思い出を、出会った日に話してくれたことがとても印象深く私の心に残っています。
葬儀場周辺にはお花屋さんが集まっていて、そちらにもお花を配達しています。
ブラジルのお葬式では、写真②のような、平らに大きく作られたお花を使用します。全人口の約74%がカトリック信者(2000年調査)のブラジルは、土葬が一般的。
埋葬の際、このようなお花は全て一緒に外に運び、棺を埋めた場所の上に、覆うように重ねて置くのです。
最後に花専門のフェイラ(市場)に寄って、丸一日かけた配達は終了。
帰路に着くのは夕方5時ごろ。このような配達を会長さん一人で、週に3日行っています。
会長さんには、二人の息子がいます。いつの日か、こんなお話をしてくれました。
「私は大学出てないけど、息子たちは今、大学に行ってるでしょ。だから、本人たちが農家やりたいって言うならやってもいいけど、別の仕事をしてほしい。農家はなんていうの...辛いっていうか...毎日毎日、今日は休みだから水あげなくていいってこともないしね」
そんな会長さんの息子が書いた作文には、将来は「農家になりたい」「日本人会を手伝いたい」とありました。そのために、日本で新しい農業技術や文化を学びたいと。
どんな未来になるのかな。素晴らしい未来でありますように。
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