JICA海外協力隊の世界日記

コーヒーの国 グアテマラから

ディプロマの授与式

みなさん、こんにちは。

今回は今年1月6日に行われたディプロマの授与式についてご紹介したいと思います。

ディプロマとは、研修などを終了した際にもらえるもので、この場合日本語に直すならば研修修了書といえます。

この研修会は、私の任地サンマテオ市の公立小学校の教員全5校、計47名を対象に行われました。研修内容は、環境教育授業を教員自身で行えるようになるための動機付けです。市役所で、全6回・計30時間にわたり、グアテマラ環境省の環境教育の専門家に来ていただきました。

私にとってこの研修は、任期を終えて任地を去ったのちも継続的に環境教育が学校で行われるようにするための布石でした。この研修を教員に受けてもらいたいと思ったきっかけとして、2点あげることができます。1点目、教員の多くが環境問題に関心を持っていたということ、2点目、環境省の環境教育授業の専門家と知り合うことができたことです。

1点目の教員の多くが環境問題に関心を持っていたということは私にとって非常に喜ばしいことでした。ゴミが街に散乱していることや、川から泡が立っていたり、川の水が汚れていたりすること、気候が変化して作物が取れない年があることなど今すぐ環境をよくするために何か取り組まなければならないということを多くの教員が私に話してくれました。研修会に参加することが、行動を起こす一つのきっかけになると考えました。

2点目に関しても現地にすでに学校で環境教育を行うために活動している機関や人材がいるのなら是非活用したいと考えていたので、非常に好都合でした。

教員たちは研修の中で、環境問題についての講習や、ビベロ(木や花を育てる場所)での仕事の体験をしました。加えてレポート等課題の提出、各学校での環境保全のための取り組み(主に植物の栽培)、最低1度の環境教育授業の実施を行い、無事に全員の教員がディプロマを取得しました。

私はこの研修では主に、課題の一つである教員自身が行う環境教育授業のサポートを行いました。各教員とどのテーマで、どのような内容で行うのかなどを事前に相談し、授業準備のサポート行いました。また、実際に教員が授業を行う日には見学に行き、改善点やより深い情報、よかった点などをフィードバックするということを行っていました。授業のなかで扱われたテーマは、「水」・「気候変動」・「汚染」・「森林」・「環境とは?」など、多岐にわたっていましたが、最も多かったテーマが水で約7割の教員が水についての授業を行いました。任地であるサンマテオ市は、夕方から明け方まで断水するため、どのテーマよりも切実に感じているテーマなのかもしれません。

このディプロマ授与式、本来ならば7月に行う予定でした。しかし、都合がつかず今年の初めとなってしまいました。遅くなってしまいましたが、グアテマラの新年度は1月から始まるため、この時期に行うことで「ディプロマを取得した、環境教育授業をするぞ!」という気持ちのまま新年度のスタートを切れるではないかと期待しています。

ディプロマを取得したことにより、学校で環境教育授業を行わないという言い訳ができなくなりました。なぜならば、サンマテオ市の条例で、学校で環境教育を行わなければならないと定められているからです。5校の公立小学校においては、教員自身による環境教育の授業が行える体制になりました。しかし、研修を受けたからといって環境教育授業が行えるというわけではありません。研修への参加、ディプロマの取得は一つのきっかけととらえています。よって、私たち市役所森林課としては、私たちによる環境教育授業の実施ではなく、課外活動のサポートや授業準備のサポート、教材提供などのサポートを行っていく予定です。

最後の写真は、実際に教員が環境教育授業を行っているところです。実際に生徒に実物の木や花を持たせ、葉の違いやにおいなどを体験するという授業でした。ディプロマの授与式の中で、興味深かった課外活動、授業内容を紹介し、教員間で共有する時間を設けました。次年度からの授業に生かしてもらえればなと考えたからです。非常に興味深く、ほかの教員とは違った観点からの授業だったので紹介したのですが、「これは環境教育授業ではない」という声も教員の中からあがりました。私はまず自然のすばらしさを生徒自身が知らなければ、動植物を大切にすることや環境保全の行動にはつながらないと考えているので、このような自然に触れてみる、感じるという授業も必要だと考え教員全員に紹介しました。(グアテマラの学校では、日本のように遠足などの行事がないので課外で自然の大切さをあまり感じるカリキュラムになってはいません。)

環境教育といえば、ゴミはゴミ箱に!、水を大切に!と安易に言いがちですが、なぜゴミを道に捨ててはいけないのか、なぜ水を大切にしなければならないのか、この「なぜ」が解決しないとなかなか行動には移せません。たとえこの「なぜ」が解決していたとしても、長年の習慣を変えるということは難しいものですが。この教員全員が集まる授与式を利用して、この「なぜ」につながる授業の仕方もあるという観点を気づいてもらい、授業に取り入れてもらえたらなという狙いがありました。

サンマテオ市には、まだ私立の小学校、私立と公立の中学校、そして専門学校があります。今年はこれらの学校の教員にもこのディプロマを取得してもらおうと考えています。

次回は、教員がディプロマを取得したことによる環境教育授業の導入についてご紹介したいと思います。

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