2018/04/20 Fri
活動を支えるツール さわやかNo,9
今回は活動の中での取り組みを紹介したいと思います。
まず一つ目が,上の写真にある【JORNAL SWYK】。
これは週に一枚のペースで発行している通信。
日々のチームの様子や,練習中に選手に伝えたこと,私の指導の方針を主に,写真等をまじえて書いています。
発信先は,選手はもちろん保護者の方にも届かせ,同じ目線・同じ感覚で子どもの教育の一助になればと思い,始めました。
日本語ならまだしも,全てポルトガル語で書くわけなので,正直時間もめちゃくちゃかかってしまいます。
が,内容を読んだ選手は自分の写真が載っていたりすると嬉しそうな顔をし,また練習中に上手く伝えきれなかったことを,ここに書くことで理解を深めてくれているように感じます。
また,保護者も「先生!子ども達の良い動機付けになるね。ありがとう。」「なるほど。こういう伝え方も効果的やね」と声をかけてもらえることもあれば,「これは私たちだけじゃもったいない」と,Facebookにわざわざアップして拡散してくれるお母さんもいます。(ブラジルはSNS発信大国。小学生の子どもたちも,当たり前のようにFacebookやInstagramのアカウントを持っています。)
考えるきっかけ,やる気をだすきっかけ,新しいことを学ぼうとするきっかけ,また子どもと親をさらに近づけるきっかけになればと思いながら,これからも続けていきます。
【コミュニケーションノート】
私と子どもを繋ぐものとして大きな役割を担っているのがこのノート。
内容は,
・今日の練習は何をしましたか?
・今日の練習で何を学んだか?
・今日の練習で何を感じたか?
・次回の練習の目標は?
と,野球の練習でのことを主に書かせるようにしています。
人は忘れる生き物。大人だって2日も3日も時間が経つと,あらゆることが記憶から消し去られているってことありますよね?
私も,ついさっき覚えたはずのポルトガル語が思い出せないこと,しょっちゅうあります。笑
忘れるということは,“理解しきれていないけど,分かったつもりでいた”ということがほとんどだと思うのです。
だから,その“理解したつもり”を,本物の“理解した”にするためにアウトプットすることがとても大切だと思います。
野球の技術において,押さえておいて欲しい基礎を伝えても,次の練習になると「あれ?どうやったっけ?」と理解しきれていなかったために,もう一度取り組み直すこともしばしば。
もちろん,ゆっくりゆっくり一歩ずつ進んでいくのは良いことなのですが,いかんせん時間がかかりすぎてしまう。
そんな時に,家に帰り,机に向かって書き留めるという行為は“理解を深める”大きな役目を果たします。
また,このノートがもたらす意義は野球以外の所にあります。
このノート,上に書いた4点だけじゃなく,フリースペースも設けています。
そこに,「昨日の晩御飯は〇〇を食べました。先生も食べてみて」と書いてくる子や,「日本語で僕の名前はどう書くの?」と,ブラジル料理のレビューや日本語への興味を書いてくれる子どもがいます。
これが大事。
その質問に,『(廣瀬)ん〜。Googleで調べてみたけど,すんごい色してるな!美味しいん?』と返したり,『(廣瀬)日本には3つの種類があってやね〜。残念ながら,◯◯の名前は2種類でしか表されへんわ〜』「(子ども)え〜なんでー?」『(廣瀬)だって漢字ってもので表したら,恐〜い感じになっちゃうから。笑』なんてノート上で意見を交換したり,遊んでみたり。
上のやり取りのように,私はいつも提出させたノートにコメントを書いて返しているのですが,まぁまた,そのコメントのポルトガル語の誤字脱字がたくさんあるわけです。
そんなミスを見つけた子どもたちは,次の練習の時に,ニヤニヤ私に近づいてきて,「先生〜見つけたでー!ここは“R”じゃなくて“L”やでー。」と可愛いドヤ顔で正しいポルトガル語を教えてくれます。
その瞬間,このノートは私のポルトガル語の勉強用のノートに早変わり。
何が言いたいかというと
このように,ノートの良さは,グラウンドでは見えない選手の本来の姿を見ることができたり,コミュニケーションの一発目の役割を果たしてくれる所にあります。(筆跡から『今日はえらい字がグチャグチャやな。なんかあったか?』と心の変化に気付けることも。)
こうしたグラウンド外のコミュニケーションは,指導者と選手の間において,ものすごく大事だと感じます。
他愛のない会話から,どんどんその子の良さや興味関心があることを引き出し,指導の際に褒める時や例え話をするときに用いると,もうそれは効果覿面。
ただただ“学びを深める”選手のためのツールである一方,“選手を知るため”“私をさらけ出すため”の私のための最高のツールになっています。
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