2018/05/02 Wed
教育 文化
考えよう!は魔法の言葉? さわやかNo,10
子どもと接していると,こんな質問がよく飛んできます。
例えば
練習が終わり,片付けをしている時。
「せんせい!グラウンド整備このぐらいでいいですか?もう一周ブラシ周りますか?」
「せんせい!道具を倉庫に持って行っていいですか?」と。
そんな時の私の答えは決まっています。
『いいよー!持ってってー!』
ではなく…
『自分で考えて決めたらいいよー!!!』
『その質問しなくていいよー!!!』
です。
だってやることは決まってるんですもん。
“自分たちが使ったグラウンドに,感謝の気持ちを込めて荒れた場所を綺麗にし,次使う人が気持ちよく使えるようにする。”
そこに先生の意見はいらない。
そこは自分のものさしでいいと思うんです。
私も子どもの時には,親によく尋ねたものでした。
なぜなら,“きっと答えを言ってくれる。言ってくれたことをやる方が楽。”だと思っていたから。
だからこそ,子どもがそうやって私に聞いてくる気持ちがよく分かります。
“だって,大人の判断が正しくて間違いないもん”という気持ち。
でも大人になって気づいたこと。
“本当に大人の判断や考えが絶対正しいのか?”
もちろん長年の知識・経験があるからこそ,大人が正しい判断をする方が多いですが,いやいやそうじゃない時もあります。
そうですね〜。この話をするなら,ブラジルの少年野球の話がわかりやすいと思うので,例を用いて紹介します。(読み進めていただく前にご注意。これは決してブラジル野球の悪口ではないので,受け取り方の程よろしくお願いします。笑)
ブラジルの少年野球に携わって,約10ヶ月になろうとしています。
そんなブラジル少年野球の中で一つ,“変えてやりたい!!”と思うものがありまして,ひとりグツグツと闘志を燃やしていることがあります。
それは,“大人の口の出しすぎ”について。
こちらこそ口を大にして言いたい!!!!
“主役は誰なんや!”と。
というのも,
試合を見ていると,「おい!!ライトもっと右や!!」「セカンド!!前や前!」「なんでそんな球振るねん!もっとこうやろが!」「ストライク投げろ!」と。しかも映画のワンシーンかというぐらい,大きなリアクションで,ベンチを飛び出し選手に迫っていきながら。(実際ポルトガル語だとこんなに口は悪くないのかもしれません。笑 でも,自分が子どもやったらこうやって聞こえるやろな〜とも思います。)
それを同じグラウンドの反対側のベンチで聞いてる私は,
『まぁ確かにポジション的にあの子がいる場所はおかしいよな〜。でももっと違う言い方で言ってあげたらいいのにな〜。』と,まぁ最初は大人しくその様子を眺めてるのですが,
どんどんヒートアップしていく相手の指導者の言動に対して,『そんな強くいう必要はないやろー!』から,もう最終的には
『子どもも分かっとるわ!誰がボール投げたくて投げてんねん!』ってもう穏やかな気持ちで見ることはできなくなってしまっています。
で,自分が動かしたのにも関わらず,子どもが元いた場所に打球が飛び,失点をすれば,ベンチを蹴って怒鳴る。
次のプレー,子どもがビクビクしながらベンチを見てる。
その姿を見ると,とんでもなくブルーな気持ちになります。
(余談ですが,ある日,そうした相手選手の姿に居ても立ってもいられなくなって,気づいた頃には試合後に相手の指導者の方と,『今日はありがとうございました』から話しかけ,「なぜそんなに言うの?」と約1時間ほど話をしたこともありました。笑 最後は握手を交わし合ったのですけどね。話の続きに戻りましょう。)
また中には,ベンチからキャッチャーにサインを出す監督がいます。
それはまぁ,チームの作戦の一部なので自由です。
が,その指示通りにいかなくて怒るのは違う。子どもよ?それに子どもの本音を言うならば,「僕にサイン出させてよ!」だと思います。
だってキャッチャーをやっていて面白いのは,自分とピッチャー二人で協力して,相手の間を読んだりしながら空振りをとった瞬間とか,打ち取った瞬間の気持ちよさだと思うもん。
なのに,ベンチに帰ったら“ほらな?言うたやろ?”って顔で監督がドヤ顔しているのはどうも本質からズレてるなと思うんです。
そんなに気持ちよくなりたいなら,自分が選手としてやればいいんです。
育ち盛り,感性磨き盛りの選手を用いる必要はないと。
すいません。熱くなってちょっと言い過ぎました。笑
本題に戻りましょう。
ミスをしたらミスをしたで子どもは考えます。
ミスをしたら自分が一番苦しいんですから,「次はミスをしないように頑張ろう!」と絶対に思っているはずです。
また,ミスをした時こそ,“こうしたら上手くいくぞ!”と,これまで長年培った大人の知識・経験を使うべきだと思うのです。
また,子どもの鋭い感覚の方が,正しいまたはおもしろい判断になることもあるものです。
そこから自分も学ぶことができるチャンスをものにしないと,せっかく子どもが教えてくれてるのにもったいない。
子どもの今後のことを考えると,大人の判断を基準にしか動けないのではなく,自分の意思に従って動ける方が絶対にいいですよね。
“あのチームの選手,キラキラした顔で野球してるな〜”と周りに言われるようなチームを作り,ブラジル少年野球界に新しい風を吹かせていきたいと思っています。
そんなこんなで,私はよく練習中に,“まずは自分で考えて”“みんなで考えよう”と,耳にタコができるぐらい言っています。
この言葉で,子どもが指示待ち人間になるのを防ぐと同時に,新しい発想を引き出すことができているのでは?と感じています。
また,この「考えよう!」という言葉はこんな効力も。
No,9の記事でも紹介したように,私は練習の様子や,野球に取り組む上で大切な心得などを,通信にして発行しています。
日本語をダーーーっと使いたい所ですが,相手はブラジル人。全てをポルトガル語で書いています。
自分の脳みその中に入っているポルトガル語と,グーグルさんという世界最強のスーパー先生の手を借りながら通信を作成しています。
“誤字脱字なしで,文法も完璧なものを作りたい!”と,意気込みますが,子どもに手渡った数秒後,期待通りにいかなかったことが子どもの表情から読み取れます。
そしてその後,すごい剣幕で,できるならば聞きたくなかった言葉が小学生の子どもの口から飛び出します。
「は?」(表情はあなたの推測にお任せします。)
「せんせい!これどういうこと?」
…。
もう一度言います。小学生の子どもにです。
まぁ,落ち込んでいる暇はありませんよね。子どもは返答を待っているんですから。
そんな時,私が返す言葉はいつも決まっています。
『これはね…』と悲しい顔を隠したまま必死に解説するのではなく,
必殺技の『考えて!』です。しかも笑顔で。
自分が間違えてるにも関わらず,満面の笑みで『考えて!』って言ってる。
“うーわ!ズルイ!”と自分でも思うのですが,私のコンセプトは考える野球。
伝えたい単語などは大外れしていることはないと思うので,大方私の言いたいことは読み取れるはず。(だと信じています。笑)
あとは,この人は何を言いたいのか?という所を考えさせ,子どもたちの脳みそをグルグル回転させます。
勘の良い子が常に2・3人いるので,その子たちが「先生はこう言いたいんじゃない?」と質問した子どもに説明をします。
私のコンセプトは,コミュニケーションを取り,自分たちでチームを作ること。
はちゃめちゃな文章のおかげで,子ども同士のコミュニケーションを生み出す機会も作ることができました。
パチパチパチパチ。
ね?ずるいでしょ?
自分のミスを良いように受け取る。
初めの頃は,“指導するなら,完璧なポルトガル語を話さなければ!”という気持ちに,がんじがらめになりしんどかったのですが,この考え方の転換により,スッと気持ちが楽になったのでした。
“自分も日本語やったら流暢に喋れんねんで〜!”“難しい文章も書けるねんで〜!”と心の中で叫びつつ,
今後も完璧な通信ではなく、ちょっと“?(はてな)”がつくような記事を書いていこうと思います!!(もちろん完璧にポルトガル語を操れるように努力はします!笑)
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