2015/06/13 Sat
文化
人の手から生まれるもの ブータンの織物
これはパンタ、タシンと呼ばれる三角後帯機で民族衣装の生地を織るアマ(お母さん、年上の女性の総称)です。経糸をサンドイッチの三辺のような筒状にして、糸の張り具合を腰のところのベルトのようなもので調節し、回転させながら織り上げていきます。
手の込んだデザインのものは、編み針のようなものを使って模様を生地に織り込んでいきます。
まずは丹念に糸を染めるところから。数百年前と変わらない手法が今も続いています。
これらは私の家の近所で、日常的に目にする光景です。
かつては農業などの第一次産業が主流であったブータンですが、近代化や市場経済への移行によって産業構造は大きく変化し、現在、国最大の輸出品は隣国インドに向けた電力の供給だそうです。
ブータンの地形(標高差)を利用した水力発電は実に合理的なものですが、設備が一度完成してしまえば、あまり人の手を必要としない(新たな雇用を生まない)産業とも言えます。
何がどれくらいの利益を生み出しているかということは、その国を知るためのひとつの指標となります。
人の手から生まれるものは、なかなかそういった部分には表れないのかもしれませんが、この国の人々が誇る文化です。
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