JICA海外協力隊の世界日記

THE・1人任国 in ブルキナファソ!

3回目のタバスキと、アムセタ。

いきなり過激な写真で失礼しました。

先月12日にタバスキというイスラム教のお祭りがあり、羊をさばくのがそのお祭りのメインイベントなので、その写真です。

そのタバスキ、過去二回は任地ダペロゴで、今回は首都ワガドゥグで過ごした。

今回はなんと4頭の牛と2頭のヒツジをさばく金持ちの家。私がダペロゴで一番お世話になっているマダム・バンデの実家だ。

家自体は別にそんな大した家では無いのだが、この時ばかりは親戚が一堂に集まり、近所中に肉を配る大盤振る舞いだ。

朝から肉をさばいては調理し、客人に振る舞う。外では男が牛羊をさばき、中で女が肉を切り調理する。その合間に自分たちもつまむ。私も最初は肉を切ったり洗ったりして表舞台でせっせと働いていたのだが、昼前に疲れて飲み終わったペットボトルを洗う裏方に回った。飲み終わったペットボトルは我々がいる方に無言でポーンと投げられ、私たちはそれを拾い集めては洗う。そして、少しでも手が動いていないと表舞台の人間の目が光り、「手動かす!」「はい!すみません!」と、よくある居酒屋バイトのお局と新米の図だ。

表舞台で働いているときは、自分にできることを探しては動くという感じで忙しく、気づかなかったのだが、裏方に回ってから表舞台を見ていると、なんとなく役割分担があり、効率よく回っているなあということに気付いた。そして、ある人物の行動がその場の効率性を支えていることにも。(そして私はその人の行動に見入っては手が休まり、また怒られる。)

その人は役割でいうと、あえて何にも属さず臨機応変に動くポジションだった。

ある人物とは、ダペロゴのバンデの家で暮らしながら中学校に通い、今年も中学校卒業試験に落ちたアムセタである。アムセタとバンデは腹違いの姉妹である。(マダム・バンデの父は3人の妻がいる。)

アムセタはみんなからいろんな要求を一気に受け、瞬時に応えていく。ナイフを貸してくれに対しては、移動しながらその人を見向きもせずにバトンパスのごとく渡す。気づいたら子どものお昼寝用マットを用意し、気づいたら片づけられている。一番人気の肝の部分を調理しながら、お客様を受け入れ、振る舞い、時間が空いたら洗い物。せかせか動いている中で、私の「お肉もういらないから誰か食べない?」に対する反応も一番だ。歩きながら瞬時に私の手から肉を奪い取り、その後へへへと愛嬌も忘れない。誰かがボケたら、すかさずツッコむのも彼女の役目だ。

と、彼女の行動に一切の無駄がない。圧巻だった。

さらに、彼女がお祈りをする時間は私を誘ってくれた。せっかくのタバスキだし、ヨーコもイスラム教のお祈りを体験してみれば?と。そして、お祈り後はみんながさらにあったかく迎えてくれた。そこまで計算済みだったのだろうか?アムセタの優しさにまた感激した。

上の写真はマダムバンデの母とお祈り後の私

なぜ、私が彼女に対してそんなに感銘をうけたのかというのも、理由があった。

ダペロゴで私は彼女に数学を教えていたことがあった。彼女は何度説明しても、マイナスの概念が分からない。

具体的にマンゴーを持っている子どもを例として出したこともある。マンゴーを1つ持っている、2つ持っているは分かりやすい。問題はマイナスだ。数直線上に子どもの絵を描いて、この子はマンゴーを1つ欲しいのだけど、無い。2つ欲しいけど、無い。と、需要に対して足りないという感じで説明した。その時は我ながらすごく分かりやすいな!と思いながら説明していたが、今となっては、どうか分からない。笑

そういうことを説明している内に、彼女は普通の四則計算の概念もあまり理解してないことに気付く。よくある暗記だけでなんとかやってきたタイプで、式が具体的にどういうことを指すのかを理解していない。(ブルキナではこういうタイプが非常に多い!)

そんなこんなで、私は彼女の算数のできなさに圧倒された思い出があったのだ。

でも、タバスキでの彼女を見ていたら、そんなことどうでもいいじゃないか、と思った。

間違いなく、あの場面で彼女が一番頭を働かせて動いていた。いわゆる使える人間だった。

でも、試験は受からない。なんとも世知辛い世の中。

と、アムセタを見つめ、ぼーっとそんなことを思いながら、裏方でペットボトルをせっせと洗っていたのでした。(まとめが雑。笑)

過去2回のタバスキは任地ダペロゴで過ごしたため、なんともあっけない祝日だったのだが、(ダペロゴの住人はお金がないので、そんなに大きなことはしない)隊員生活最後のタバスキはとっても貴重な経験になった。

あー楽しかった。(まとめが雑。笑)

最後にアムセタ。写真を撮る時は絶対に真顔。

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