イッペーの花咲く頃(伊牟田隊員は帰国しました。)

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伊牟田 浩子
神奈川県

タイプ/職種
日系社会シニア・ボランティア
高齢者介護
派遣国
中南米
ブラジル サンパウロ州スザノ市
一言メッセージ
日本から一番遠い国、南米ブラジルにはもう一つの日本がありました。古き良き日本文化を今も伝承するブラジル日系社会での活動や暮らしをお伝えします。

 

うれしい出来事と課題

2018.06.19

人 活動

 「あなただったのか・・・日本人が来たって!」その一言からの振り返りを記します。サンパウロ近郊には私の配属母体であるサンパウロ日伯援護協会が運営する4つの老人施設や、他に日系団体が展開する老人ホームが点在しますが、希望があっても入居定員や経済面から非日系の施設選択をせざるをえない事情もあります。高齢移民1世の方が言語の違う施設に入居され、言葉の不自由さのなかで生活されることは大変なことです。私がブラジルに来るきっかけになったのも、日本語でのケアでお役に立てるのなら・・・そんな気持ちからが始まりでした。余暇を利用して日系施設以外の老人ホームを訪問し、日本人入居者の方々へ日本語での話し掛けや傾聴を行いました。ポルトガル語での介護を受けている日常の中では、「こんにちは〇〇さん」の在り来り挨拶の一言でも表情が一転し、閉じていた目を大きく開き、心が動く瞬間がわかり、懸命に「自分はここにいる」と訴えてこられる様子が伝わってきます。他言語での医療・介護は高齢者にとって厳しい現状が垣間見えます。晩年において元来の言葉や習慣で暮らすことは大切な生きる術です。言葉の通じる安心から少しでも孤独感を補うことができるのならと訪問を繰り返しました。最近になり、訪問した施設に暮らしていた方がイぺランジアホームへ転居されてきました。お話しを伺うなかで、以前暮らされていた施設へ訪問したことがあると申し上げると・・・「あなただったのか・・・日本人が来たって!」っと驚きの言葉が返り、「日本人の女性が来てくれたと皆が喜んでいたんだよ!」とその様子を聞かせてくれました。ほんの少しの訪問を喜んでいただいたことに嬉しさを覚える反面、寂しい思いをされておられることを再確認しました。日本でも課題とされている独居老人問題同様に、移民110周年を迎えるブラジル日系社会においても、高齢移民への孤立感を緩和する支援が必要不可欠な状況であることを今後も伝えていきたいと思います。