JICA海外協力隊の世界日記

井上幸一のクルシェヒル滞在日記

新年あけましておめでとうございます。

皆様お正月はいかがお過ごしでしたでしょうか。日本は12月になるとそこかしこでクリスマスソングが流れ、年の瀬の慌ただしさと新年への期待で何となく心が浮き立つようですが、クルシェヒルのようなイスラムの地方の街は師走の喧騒も大晦日の高揚も何もない内にいつの間にか年が入れ替わった感じです。そんな訳で異国情緒あふれる年末年始の風景はお伝えできませんが、あるユニークな人物の紹介がてら我が家のささやかな“年末年始”をご報告したいと思います。ある人物とは、何年にも亘りトルコ各地に足を運びその土地ならではの郷土料理の調査研究をライフワークとしている「トルコ郷土料理の鉄人」岡崎信也氏がその人です。今回の訪土はいよいよ総仕上げということで、その集大成はいずれ本になる予定だそうです(出版なった暁には皆さん是非一冊ご協力下さい)。彼の活動は各地の地方紙等でもよく取り上げられており、またトルコ在住邦人の知己も多く、トルコでは有名人でもあります。その彼と奥方陽子さんが昨年12月下旬から暫く我が家に滞在されました。お二人のクルシェヒル訪問は2度目で、最初は昨年9月下旬の当県最大のイベント「アーヒリック週間」の前に当地の郷土料理を求めて訪問された時でした。その際も数日我が家に滞在されましたが、今回はその時に調査できなかった郷土料理2点の取材が目的だそうです。

取材の方は前回も尽力してくれたYıldız文化観光局長の協力で無事終了し、丁度クリスマスのタイミングでしたので「日本人4人でささやかなクリスマスパーティを」と意見がまとまり(とは言っても、毎日が飲み会の状態ですが)、ここは一番、鉄人に腕を振るってもらうことになりました。但し、主菜は普通の材料を使った和のテーストと無茶なお題を強要しました。流石、鉄人!”お安い御用、お任せあれ。と我らが難問も軽~く受け流し、街中のチキン専門店にフラリと立ち寄ってチキンのミンチを特注し(トルコではチキンの需要が一番ですが、ミンチ状にして使う料理はまず見ません)、一緒に買ってきた芽キャベツや買い置きの蕪等の材料を並べて早速調理が始まりました。やがて醤油の香ばしい香りも漂ってきて、期待を胸に待つうちに料理の完成となりました。主題のメインは何と、“つくね”です(写真を見ると、一瞬トルコ名物のキョフテ/ひき肉の小型ハンバーグのように見えますが)。しかも、サッパリとした甘さの純和風タレもしっかり絡まっています。これを大根おろし“(ガラスボールに入った白いものがそれで、こちらでも日本風の大根が時々手に入ります)と併せていただくと、まさに美味しん坊“の世界です。脇付けに”蕪の鳥そぼろ餡かけ“とこれまた泣かせる和の一品です。更には玉ねぎをベースとした芽キャベツと人参のトルコ風前菜メゼも添えてトルコと日本の友好関係にも気配りがしてあります。もちろん、クリスマスケーキも抜かりはありません。ビールとの相性もバッチリで全員マイウ~”の連発です。ジングルベルのBGMこそありませんが我らの楽しきクリスマスの宴は深夜まで続いたのでした(報いは当然二日酔いです)

岡崎夫妻が次の目的地に向かってから数日でトルコで初めてのお正月を迎えることとなりました。前述のように年末年始といっても特段の賑わいや華やぎも無く、トルコ(イスラム)の人にとっては元旦も休日のひとつにすぎないそうで大晦日も通常通りの勤務でした。仕事も生活もヘェ~、ソ~“の連続の一年でしたが、紅白除夜の鐘“も無く2014年が静かに過ぎていきました。明けた2015年もあいにくの雨模様の中で普通に始まりました。とは言え、やはり日本人にとってお正月はお正月。2段重ね、3段重ねのおせち”は望むべくもありませんが、我々夫婦も日本の知人が送ってくれた栗きんとん黒豆田づくりお餅“でささやかな“おせち(風)”と“お雑煮”をいただきながら、残り1年となったトルコでの活動の成就と無事の生活を祈りつつ穏やかな新年を迎えました。次回は中旬頃の予定です。

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