JICA海外協力隊の世界日記

井上幸一のクルシェヒル滞在日記

乗ってみました高速列車YHT

トルコらしく計画よりかなり遅れて、昨年7月25日アンカラ~イスタンブールの全区間で高速列車(YHTトルコ版新幹線)の運行が開始されました。
トルコの政治経済の大動脈であるこの区間の移動手段は、これまで航空機か高速バスが専らで、クルシェヒルのような地方都市からはかなり不便を蒙っていたのです。そこで、ダイヤは一日6本程度とはいえ、最大営業速度250kmで両都市を最短3時間15分で結ぶ(はずの)YHTの運行には、日本人の団体旅行日程にも新たな影響を与えクルシェヒルにとっては朗報ではないかとかなり期待し、乗車の機会を伺っていました。
さて、その機会が今年早々にやってきました。今月7日からイスタンブール出張が決まり、早速アンカラからYHTを利用することにしました。当日も大雪の影響でかなり遅れて入線した列車のノーズは日本の新幹線よりズングリとして幾分ユーロスターに似ており、8車両程度の全体にコンパクトな印象です。

利用するにあたって幾つか懸念材料もありました。第1にチケットの入手です。駅の窓口とonline購入がありますが、online購入は現実にはトルコの人の助けが無いと無理でした。
また、販売開始も15日前からで団体旅行の移動手段に組み込むにはリスキーなことが判りました(団体の場合は早期予約ができるのかもしれませんがそこまで確認できていません)。料金はファースト・ビジネス・エコノミーと3クラスあり、かつ、変更・返金不可から何でもOKまで数種類と複雑で、最低はビジネスクラスでも2500円程度(条件によりエコノミーより安い)と日本では考えられない価格です。
なお、追加料金を足せば(800円程度)事前に食事の注文も出来きます。ただ、”ビュッフェ車両“があり、カウンターやテーブルである程度の食事もとれて餓死の心配はありません。
車内は通路を挟んで2列と1列のビジネスクラスと2列・2列のエコノミークラスが標準で、途中飲物やスナックの無料サービスもあります。また、航空機のように前座席背中のモニター画面(トルコは高速バスにも同じシステムがあります)で映画や音楽も楽しめ(当然トルコ語ですが)、意外と退屈させない気配りです。因みに、途中完全stopも結構ありましたが車内モニターに出た最高速度は230kmで(多分雪の影響があったのでやや遅めの数字かと思われます)、思いのほか揺れは感じませんでした。

 次の問題は、イスタンブールのターミナル駅Pendik(ペンディッキ)はアジア側のかなりの郊外にあり、ボスポラス海峡を臨むアジア側中心街のカドキョイやユスキュダルまでバスで40分以上はかかり、また、途中から地下鉄(カルタル駅)に乗り継ぎマルマライ線を利用してもヨーロッパ側の中心街に出るには有に1時間以上かかる点です(下手すると2時間近くかかる)。バスにしろ地下鉄にしろ言葉や利用勝手がわからないので初心者には結構不安が募ります。また、トルコは年末からの大寒波と豪雪の被害が多発しており、当日も予定通りの運行には不安を抱いていましたが、案の定悪い予感はピッタシ・カンカンで日頃の行いのせいか結局2時間半遅れて雪の舞うペンディッキ駅に20時30分頃到着。
 駅前の大混雑の中でオロオロ、キョロキョロしている所を、途中の街/駅まで帰宅するという非常に親切な魚料理のレストランオーナーに助けられて、どうにかバスと地下鉄を乗り継ぎ、最後は悪徳TAXIにボラレながらもどうにか旧市街のスルタンアフメット地区に予約したホテルに到着しました。吹雪のクルシェヒルを出てから延々13時間の長丁場で、正直かなり疲れました。大雪という条件でなければもう少し所要時間も印象も違ったかもしれませんが、話の種に1度は乗ってみてもいいのかもしれませんね。しかし、団体旅行で利用するにはかなりハードルは高いなというのが実感です。次回は月末の週にでも。

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