新エジプト記

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鎌形 夏光
千葉県

タイプ/職種
青年海外協力隊
日本語教育
派遣国
中東・欧州
エジプト アスワン
一言メッセージ
ボランティアといっても学ぶことの多い毎日です。暑い砂漠の町で今日も生きています。

 

ハルガダ

2019.09.01

エジプトは810日~17日まで犠牲祭で、日本のお盆のように長いお休みがありました。

せっかくの長期休みなので、普段は行けない紅海に面したリゾート地、ハルガダに行ってきました。

紅海はサンゴ礁が広がる色鮮やかな海で、色とりどりの魚や野生のイルカ、ウミガメなどが生息しています。西はエジプト、東はサウジアラビアに挟まれており、ハルガダはシナイ半島とエジプト本土の間、スエズ湾から少し南に下ったところにあります。

海岸にはホテルが立ち並び、外国人観光客の絶えない人気のリゾート地です。

今回は野生のイルカが見られるというツアーに申し込みました。

予約をしていた船に乗ると、浅黒い肌の、筋肉もりもりの男性(今後彼を司令官と呼ぶことにします)がみんなを集めて今日のプログラムについて話していました。

まずイルカの生息地に直接船で行きシュノーケリング、その後サンゴ礁のまわりでもう一度シュノーケリング、昼食をとって帰路につくというもの。

エジプト人は小学校や中学校で水泳を学ぶことがないため泳ぐのが苦手な人が多く、船には全員分はあるかと思えるほどの大量のライフジャケットが備え付けられていました。

イルカの生息地に着くと、小さなボートにみんなで乗り込みます。

軽自動車ほどのボートに20人以上乗り込むため、バランスをくずせばすぐにでも転覆してしまいそうです。

ボートでしばらく進んだところにはすでに何艘ものボートが浮かんでいました。

どのボートも隙間もないくらいにぎっしりと人がつまり、いつ海に落とされてもおかしくないほどに密集しています。

遠くの海までボートとその母艦である船がずらりと水平線をとりまいており、そのうち大砲を携えた船がどこからともなくあらわれ戦争が始まるのではないかと思えるほど張り詰めた空気がただよっていました。

と、突然海上の空気がかわりました。

海を見ると、黒い三角形の背びれが水を割ってしぶきをあげているのが見えます。

イルカです。

その瞬間、ボートにいた司令官が突然「Go!!! Go!!! Go!!!」と叫びました。

ボートの中にいたお客さんたちが一気に後ろ向きに海に飛んで行き、一目散にイルカめがけて水をがぶがぶと引っかき泳いでいきます。

海の中しか見ていないので、ボートに頭からつっこんでいくお客さんもいました。

(ずいぶんと派手にぶつかり痛そうです。)




その剣幕に気おされ、呆然と彼らを見守っていましたが、先ほどまでいたイルカは忽然と姿を消していました。あっという間です。

「次に合図したら、必ず飛び込め!」

司令官が叫びます。

さながら軍隊のよう。

イルカを見るだけなのにどうしてこんなに緊張させられるのか。

少しばかり人間のイルカに対する執着に恐ろしいものを感じました。

司令官の次の合図に私も飛び込みましたが、イルカがいる走った方向にはとても追いつけません。

一息ついて5メートル下の深い所に目を向けると、サンゴに寄り添うようにして、母親イルカとまだ幼いイルカがゆっくり進んでいくのが見えました。

海の中では自然なままの教育が息づいています。

地上で私たちボランティアも一生懸命教育と向き合っていきたいものです。

エジプトは遺跡と砂漠ばかりでなく、紅海にも見どころがたくさんあります。

もしエジプトに旅行する機会があれば、ぜひ訪れてみてください。