JICA海外協力隊の世界日記

マーシャルのゴミから見える世界

その8:飲料容器リサイクルの新たな取り組み

マーシャルでは廃棄物削減の新たな取り組みとして昨年8月から飲料容器デポジット制度(Container Deposit Legislation;以下CDL)という仕組みを立ち上げました。写真は大統領によるCDL受け入れ開始のテープカットの様子です。

#01 CDLのしくみ

 CDLとは飲料を輸入した業者がアルミ缶、PETボトル、ガラス瓶1本あたり6¢を上乗せして販売し、6¢を積立(デポジット)します。空き容器をMAWCに持参した人に積立から5¢を返金する(残り1¢はMAWCの運用費用)仕組みです。この制度の長所は、持込みゴミがその場でお金に変わることで、住民自らが積極的にリサイクルに参加するきっかけになることです。写真は受け入れたアルミ缶を日本の援助で導入した金属プレス機でアルミブロックに圧縮する作業の様子です。ブロック状のアルミ缶は海外へ有償売却して、リサイクルしています。

 この制度の立ち上げ準備段階では、時間を決めてもなかなか計画通りに進まず、「マーシャルタイム」といわれるゆったりとした時間の流れに、イライラすることもありました。しかし最後にはつじつまが合うことが多かった気がしています。逆にマーシャル人の仕上げの馬力には感心しています。そんな中で、配属先の仲間たち、JICA関係者の方々、政府関係者など多くの人たちの協力のもと、2018年8月13日からCDL受け入れをスタートすることができました。

 しかし、ぶじ立ち上がったCDLですが、想定以上に飲料容器が集まり過ぎて積立資金が不足し出すなど、まだまだ安定状態に落ち着くまでは目が離せない日々が続きそうです。

#02 (環境の)歴史を積み重ねる

 このようにCDLの開始前後に立ち会い、そして担当として関われたことはとても幸運なことでした。マーシャルの環境の歴史が変わる瞬間を目の当たりにすることができました。

 CDL開始当初には、きっと街中から拾い集めたと思われる潰れたアルミ缶などがまさに山のように集められてきました。子供たちが嬉しそうに道端のアルミ缶やPETボトルを集めているのを見て、こんな貴重な経験ができた子供たちが将来この国をどんな国にしたいと思うようになるのか? 何年後かわかりませんが、またこの国を訪れて、環境の歴史の行方を改めて見てみたいと思っています。

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