JICA海外協力隊の世界日記

マーシャルのゴミから見える世界

その7:マーシャルの水事情

 雨水頼りのマーシャルでは水が貴重な資源です。この国の水事情をご紹介します。写真はこの国の家庭で普通に見られる飲料水サーバーです。飲料専用水を自動販売機でタンク(5ガロン=約19リットルが自動販売機で$1)に詰めて利用しています。一般にはミネラルウォーターと言っていますが、自動販売機の説明書では逆浸透膜を利用した飲料水製造設備となっており、いわゆる海水淡水化設備と同等の設備となっています。

#01 水道のしくみ

 次に、飲料水以外の上水道、下水道(さらにMajuroでは中水道もあります)のしくみについてです。上水道は生活に不可欠な施設なので、Majuro全島に上水道管がつながっています。山や川がないMajuroでは空港滑走路に降った雨を大きな貯水池に溜めて上水道に利用しています。滑走路貯水池の写真を下に示します。なお、Majuro西端のLaura地区は島状(第5号で報告したように昔は独立した島でした)になっており海から距離があるため井戸水を上水道として供給しています。

 次にトイレに流す水は中水道として整備されています。中水道というのは日本ではほとんど見かけることのない施設です。この国では常に水不足との闘いです。トイレのために上水道を利用するのはもったいないので、豊富にある海水を汲み上げて中水道として利用しています。

 最後はトイレ排水などの下水道です。日本では下水処理は普通です。しかし、この国には広大な海が広がっているので、うまく放流すれば拡散して影響が出ないということで、下水集積地点より約100ft(約30m)外洋側の地点から下水を直接放流しています。

#02 適正技術ということ

 上水道、中水道、下水道を図示してみました。上水道は全島整備、中水道は空港以東の人口が多い区域、さらに下水道は人口集中区域のみ供給ということがわかります。このようにマーシャルではいかに少ない雨を集めて、より多くの人々に不便を生じないように供給するのか、さらにより簡単な設備で維持費用も少なく供給できるかという観点で水道が整備されていることがわかります。

 以上は上下水道公社(Majuro Water & Swear Company;MWSC)に派遣されていたSVの方からのヒアリングに基づきます。

 これを聞いた時、まさに「適正技術」だなぁと感心しました。適正技術とは「現地で手に入る材料で、現地の人が使いやすく、かつ必要な機能を満たす技術」言い換えれば持続可能な技術ということで、我々ボランティアが常に念頭におくべき技術のあり方です。私の職場の廃棄物処理・処分においても、つい日本の最先端技術に目を奪われがちですが、地に足をつけてこの国にふさわしい技術のあり方を現地の人とともに模索したいと考えています。

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ