JICA海外協力隊の世界日記

手のひらのパナマ野生蘭

JICA隊員とウミガメおばちゃん

こんにちは。あゆみです。

今回は、パナマJICA 隊員に受け継がれる、ウミガメ保護活動についてお話します。

Malenaという村の海岸には、一年を通してウミガメが卵を産みにやってきます。この小さな海街Malenaでホステルを営む、通称“ウミガメおばちゃん”は、十年以上前から卵を孵して、ウミガメの赤ちゃんを海に帰す活動をボランティアで行っています。

毎日、朝5時と夕方8時になると、ウミガメおばあちゃんは犬とともに海へパトロールへ出掛けます。

日が昇る前の真っ暗な海岸を、懐中電灯の細い光と、長年の勘を頼りに歩いていくウミガメおばちゃん。

パトロールでは、海ガメの卵が掘り起こされていないか、(犬だげでなく、地元の人も食用に採取してしまうようです。)、網に引っ掛ていたり、海に流されたゴミで動けなくなってしまったお母さんウミガメを助けることもあるといいます。

保護した卵は、数字のついた穴に埋められ、孵化するまで砂の中で大切に保管されます。ひとつの穴には数百個の卵が埋まっており、保護した卵の数と孵化した数も、毎日欠かさずノートに記録されてます。

この町で「ボランティアとは何か」を言葉以外の何かで教えてもらったような気がしました。

(松下隊員ブログ「ウミガメおばちゃん奮闘記」より)

松下隊員(2014/環境教育)とウミガメおばちゃんの出会いは、趣味の釣りがきっかけでした。ガイドブックにも載っていないようなこじんまりとした海で、献身的に活動を行う夫婦に共感した松下隊員は、定期的に訪れては彼らのパトロールを手伝い、海岸のゴミ拾いを自主的に始めました。

釣りで真っ黒に焼け、パナマの生物博士でもあった松下隊員は、同じ環境教育隊員として尊敬する大先輩でもありました。任期を終え日本に帰ってしまった後も、松下隊員の“パナマの自然環境を守りたい”という強い想いは引き継がれ、今日になってもゴミ拾いとパトロールのお手伝いはJICAボランティア有志によって実施されています。

「コーヒー飲みにいらっしゃい。」

ウミガメおばちゃんがパトロール後にご馳走してくれた、お砂糖たっぷりのコーヒーと揚げたてのオハドレは、パナマの定番の朝ごはんです。まるで、おばあちゃんのお家に遊びに行くような、いつでも温かく迎えてくれる彼女の優しさこそが、隊員たちがMalenaに戻ってくる一番の理由なのかもしれません。

今日も、ウミガメおばちゃんは海へパトロールへ。

数匹の海ガメの赤ちゃんが彼女の手によって海に帰っていくのでしょう。

海ガメは、大人になると卵を産みに再び自分の産まれた海に帰って来るのだそうです。

繰り返される自然の営みに寄り添うように、ひとりのJICA隊員の繋いでくれた縁が、これからも次世代のボランティアへ受け継がれますように。

おばちゃんとJICA隊員の“ウミガメ奮闘記”は続きます。

Ayu

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