JICA海外協力隊の世界日記

手のひらのパナマ野生蘭

山に戻った106の蘭たち

こんにちは。あゆみです。

今回は、APROVACAが毎年行っている植ランプロジェクトについてお話しします。

APROVACAでは、園内で繁殖し育てたランを山に戻す活動を、MiAmbiente(環境省)とともに毎年行っています。(去年の植ランはバックナンバー「山に戻った112の蘭たち」をご覧ください。)

去年のガイタル山に引き続き、今年は地元の中学校が管理する緑歩道“El Sendero Flor de Espiritu Santo(エスピリトゥ・サント歩道)”に、106のミニチュアラン、Maxillaria friedrischtalliiScaphyglotisを植えました。去年は数人のボランティアだったのが、今年はたくさんの小・中学生と先生、地元の友人が参加してくれました。

実は、このエスピリトゥ・サント歩道にランを植えるのは初めてではありません。

歩道の名前の由来である“エスピリトゥ・サント”は、パナマの国花であり、ワシントン条約では保護対象ともなっている貴重なランです。数年前、APROVACAのプロジェクトとしてエスピリトゥ・サントを20株ほど植えたのですが、心ない誰かにより、一晩ですべての苗が盗まれてしまったのです。

なので、エスピリトゥ・サント歩道という名前にも関わらず、ここにはエスピリトゥ・サントがありません。

たくさんの学生の協力のおかげで、植ランは1時間ほどであっという間に終わりました。

「この子たちが大人になった時、この小さなランのことを思い出す時がくるのかな。」

せっせとランを植えている学生たちの写真に撮っている時に、そんなことをふと思いました。

“植える”ということは、自分の手で新たな生命を生み出すということでもあります。

わたしが小学校ではじめて植えたチューリップ(チュップとリップという名前でした)が芽を出したとき、「この芽を大切にしなくちゃ」と、幼いながらも一生懸命お世話していたことを今でも覚えています。自分以外の命を大切にするということは、当たり前のようで、当たり前でなくなっている今の世界。何もなかった土から、ひょっこり出てきた小さな芽に感じる驚きと興奮のまじった気持ちは、もしかしたらとても大切な感情なのかもしれないと、教える立場になった今、改めて感じています。

そんな経験が今のわたしを支えているように、今回の植ラン活動が、学生たちの頭のすみっこで生き続けてくれますように。

今回はミニチュアランでしたが、またいつか、エスピリトゥ・サントを植えたいと思います。

Ayu

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