JICA海外協力隊の世界日記

キリバス marurung(元気)日記

キリバス人の足と文化と糖尿病

みなさん、Mauri!

中山です。

今回は、キリバス人と糖尿病性足病変と文化の関連をお話します。

○その前に、”糖尿病性足病変”って何?

医療職でなければこの言葉を初めて聞いたという方もいらっしゃるかと思います。

なので本題に入る前に糖尿病性足病変についてお話します。

糖尿病性足病変とは、糖尿病の合併症の一つです。

糖尿病により血管がダメージを受けることによって

足が壊死してしまったり、傷が治りにくかったり、感染を引き起こしてしまいます。

糖尿病の合併症には神経障害もあるため

傷ができても気づかないケースもよくあります。

そしてその傷や虚血により、最悪のケースでは下肢切断に至ってしまいます。

これが糖尿病性足病変です。

○キリバスの文化

キリバスでは割りと最近まで裸足の文化でした。

今でこそ、多くの人がサンダルを履いていますが

未だに裸足の人も多くいます。

キリバス人の足の裏、すごく硬いんです。

炎天下のアスファルトの上や砂利道を難なく歩けるくらいに硬いです。

そして、キリバス人にとって切っても切り離せないのが海。

漁に行く人もいれば、貝やタコを取りに行ったり

お風呂やトイレの代わりにもします。

しかも裸足で行くこともあるので、足に傷を作りやすい環境です。

更には海は生活排水で汚染されているため、バクテリアの温床となっています。

なので傷がある場合、感染症を容易に引き起こしてしまいます。

また、キリバスでは胡座が正式な座り方となります。

家で体育座りをすると、高齢の方から大変怒られるそうです。

横すわりは男性を誘っているととらえられます。

足の裏を相手に向けて、長座で座るのも失礼とされています。

マニアバと呼ばれる屋根だけの集会場(写真)では

特に胡座で座らなくてはなりません。

昔は最前列が男性、その後ろに女性、子供と座りかたも決まっていたそうです。

キリバス人にとって胡座は文化の一部。

しかし胡座をかくとくるぶしに圧がかかるため、糖尿病性足病変を形成してしまうことが多いです。

○どうしても切り離せない文化

看護は人々の衣食住全てに密接に関わっているとナイチンゲールも説いています。

文化とも切っても切り離せません。

だから、くるぶしに傷がある人に

「胡座をかいてはいけません」

といくら言ったところでそう簡単に改善される問題ではありません。

それが”文化”だからです。

もちろん、クッション材を用いて胡座をかいても除圧される仕組みにしてはいますが

それでも、傷が悪化して切断まで至らないために、傷のある患者さんには

「胡座をかいてはいけません」

と言い続けなければいけないのです。

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