JICA海外協力隊の世界日記

コンピュータと絵本

学習障害?

 アニメと日本語が大好きなMのことを書いてみます。Mは不思議な子です。アニメで覚えた変な日本語をぺらぺらしゃべります。ちゃんと日本語を勉強したい、といつも言います。私もちゃんと教えたいと、いつも思いました。でも、Mは、他の学生達といっしょに学ぼうとはしないのです。時間帯が合わないのかと思い、Mのために時間をつくろうとしても、なぜか、理由をつけて逃げるのです。Mの日本語を学びたい気持ちは、他の誰よりも強い、と私は感じていたので、Mのそういう態度は不可解でした。

 1年たって、熱心な学生はひらがなやカタカナを読めるようになりました。でも、Mはだめでした。別にひらがなやカタカナを読めなくても、日本語を楽しむことはできます。それはそれでいいし、そういうふうに楽しんでいるだけの学生も多かったのです。外国人にとって、ひらがな、カタカナが簡単でないことはわかっているので、Mが読めなくても私は気にしませんでした。

 ところが、Mにとってこれが大きな問題であることが顕在化してしまいました。Mはひらがなを読めるようになりたいのです。ところが、どうやっても読めないのです。Mは、他の学生が読めるということが信じられないようでした。これは、もしや、トム・クルーズと同じ障害では、と思い至りました。英語やポルトガル語の読み書きでもきっと苦労したはずです。それをMなりのやり方でなんとかしてきた、そのやり方が、ひらがな、カタカナには通用しないのでしょう。

 さて、私はどうしたらいいのでしょう。Mに、ひらがなはあきらめろ、と言うのでしょうか。そういう障害があっても、ひらがなを教える術があるのではないでしょうか。だれか、教えてほしいです。次のセメスターが最後のチャンスです。悩んでいるうちにあっという間に過ぎてしまうでしょう。結局どうにもできないまま、Mとさよならしてしまって、ずっといつまでも気にする、ということになりそうです。

 さて、上の写真は、紫のさくらと言われるジャカランダです。マプト市内では、あまり見かけませんが、ナマーシャへ出掛けた時に撮りました。ナマーシャはマプトより標高が高く、気温が少し低くなります。車で1時間くらいなのですが、ポルトガル統治時代に避暑地として整備されたようです。今も、避暑地らしいきれいな街並みです。木の下に、花びらといしょに、黒い貝みたいな殻がたくさん落ちていました。ジャカランダの種が、この殻の中にたくさん入っているのですが、落ちている殻はどれも空っぽです。この殻が落ちる前に口を開いて、羽のついた種を飛ばすのです。

 口を開いている殻。

 私は今まで、ジャカランダの花ばかりを見ていましたが、今回、いっしょに出かけた理科教員のトモコさんが、種のことを教えてくれました。彼女は、種を見てみたい、と言って、落ちている殻を片っ端から覗き込みました。たいてい空っぽで残っていないのです。奥の方に残っていた種を、トモコさんが引っ張り出したのですが、あっという間に飛んでしまいました。あー、写真撮りたかったのに、と言いながら、再度探して、やっと撮った写真がこれです。

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ