JICA海外協力隊の世界日記

コンピュータと絵本

モザンビークの昔話1

 学生に教えてもらったモザンビークの昔話を、絵の好きなルーベンが描いてくれた絵とともに紹介します。ドラマ仕立てにして、ちょっと脚色してます。この日本語は、学生が演じやすいように、なるべく簡単な表現にしてます。


ねずみと猟師

昔、罠を仕掛けて獲物をとる猟師がいた。彼には目の見えない妻と3人の小さな息子がいた。ある日、彼が罠を見て回っていると、ライオンが話しかけてきた。

ライオン: おい、おまえ。ここで何をしているんだ。

猟師:   獲物がとれたかどうか、罠を見て回っています。

ライオン: そうか。ここは俺のナワバリだ。

      おまえの次の獲物を俺にくれ。

猟師:    ううん、しかたない。わかりました。

しばらくして、猟師は少し離れた町へ友を訪ねて出かけた。その日のうちにはもどらなかった。家では、食べ物がつきて、家族は困っていた。

:    ああ、食べ物がない。どうしよう。夫は出かけていないし、

      私は目が見えない。ああ、どうしよう。

こども1:  おかあさん、おなかすいた。

こども2:  おかあさん、おなかペコペコだよ。

こども3:  おかあさん、何か食べたいよ。

:    わかった、わかった。ちょっと待って。

     何か食べ物がないかしら。

     何か罠にかかってるかもしれない。

      キャー!

妻は目が見えないので、罠に落ちてしまった。その様子を、ライオンは藪の中から見ていた。これで、猟師がもどったら、約束通り獲物をもらえる、とライオンは思った。

ライオン:  見ろ、俺の獲物だ。

猟師:    ああ、おまえ。どうしたんだ。

:     あなた、助けてえ。

猟師:    あれは私の妻です。獲物じゃない。

ライオン:  でも、罠に落ちてる。俺にくれ。

猟師:    ううん、困った!

そこへねずみがやってきて、どうしたんだ、ときくので、ライオンが説明すると、ねずみはしかたない、と言う。

ねずみ:   しかたないですよ。約束は約束です。

猟師:    何だ、ねずみ!? おまえは関係ない!

ねずみは、ライオンからちょっと離れて、猟師の耳にささやいた。

ねずみ:   大丈夫ですよ。助けてあげます。

猟師:    何、本当か?

ねずみ:   わかった、と言って、帰ってください。

猟師はねずみの言う通りにすることにした。

猟師:    ライオンさん、わかりました。私は帰ります。

:     ええ!? あなた、帰っちゃうのお!!

ライオン:  ううん、うまそうな人間だ。

ねずみ:   ライオンさん、ライオンさん、自分で罠をつくれば、

      獲物は全てあなたのものですよ。

ライオン:  お、そうだな。

ねずみ:   こちらへどうぞ。ほら、これを見てください。

ライオン:  何だ何だ。

      ガシャーン!

突然罠の扉が閉まり、ライオンは檻の中になってしまった。

ライオン: わあ、ねずみ、俺をだましたな!

ねずみ:   さあ、おくさん、帰りましょう。

:     ああ、ねずみさん、ありがとう。

妻はねずみといっしょに家に帰り、それからねずみは、その家に住んで、家族が食べるものは何でも食べるようになった。以来、ねずみは人の家に住み、何でもかじるようになったとさ。

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