JICA海外協力隊の世界日記

速達!ホンジュラス

将来の夢は何ですか?

ある日、家政科所属の中学2年生ダニエラと偶然道で会い、一緒に登校する日がありました。そしてある1つの質問をしました。

「将来の夢は何?」

普段から、ふと生徒と一緒に登校や下校をすると、決まり文句のように質問します。大概は何となく高校へ行きたい、医者になりたい、弁護士になりたい、と答えてくれるのが数多い中、ダニエラが答えたのは「動物が好きだから獣医になりたい」でした。澄んだ表情で話してくれた彼女が凄く印象的でした。

以前何度か、学校の事務所へ「中学卒業生の進路先は?また高校生の進学率は?」と質問したことがありました。しかし、誰も知りません。

中学生は大概そのまま高校へ進学するのが多いのですが、高校卒業後は働くか、お金があれば、もしくは奨学金が得られれば大学へ進学か、この2つが一般的です。親の仕事の手伝いや家事の手伝いをする女子学生は多く、日本のように「企業に就職する」というのは、この地方の高校では簡単でも、一般的でもありません。

もし中学・高校卒業後に働く生徒が大半を占めるのであれば、技術科(鉄鋼、電気、農業等)は実践的な技術や応用も教えて、生徒に少しでも働き口や、収入を増やせるように指導をしてあげれたらいいのに、何度かそんなことを考えた事があります。

また今年の3月、昨年の家政科の卒業生と街の大きな文房具屋で再会しました。彼女は、中学卒業後(学校は新学期が2月、終了式が11月)に高校へ進学せず、この文房具屋で働く事になり、その数ヶ月後、道ばたで偶然会った際「文房具屋の仕事を辞めたの。今は家事をしている。兄弟はまだ幼いから母を手伝っている。」と話してくれました。とある一例にしかすぎませんが、でも現実です。雇用がない、雇用があってもすぐ辞めてしまう現況、と言って「高校・大学への進学が優れている」と言いたいわけでもなく、生徒等が「こういう仕事がしたい」「こんな風に将来過ごしたい」そういう思いが伝わってこないのを、ふと感じるのです。「叶えたい夢って持っていないのだろうか?」叶う叶わない関わらず、一種の「希望」を抱き続けることは、ホンジュラスの生徒等にとって一般的ではないのだろうか?

さて、今年最後の折紙の授業で、ダニエラは真剣に8面体の箱と12面体の立体ボールを折っています。他の生徒の完成した!歓喜や、言動に惑わされず、慌てることなく、誰よりも丁寧に確実に作っています。丹念に形を作っていく真剣さを、私はこの先忘れることは無いと思いました。

折紙の良いところは裁縫や料理とは打って変わって、生徒等の間で性別意識が無く、男女問わず夢中になって折ります。でも、よく観察をしていると、その集中力や根気強さは本当に生徒様々。折紙授業をした後に「家でも作ったよ」と、ノートの紙で作品を作ってくる生徒を見ると、その「きっかけ」を大切にしてくれたら嬉しいなと思います。私が教えたアイデアだけではなく、他学科の授業で、日頃の生活感じる「好き」や「楽しい」と感じる興味を、自身の将来へのきっかけや原動になったらと、最後に願わずにはいられません。

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