JICA海外協力隊の世界日記

エクアドルBOSAI日記

活動ふりかえり(2018年3月、4月)

¡Hola! ¿Cómo está?

皆さんこんにちは。日本は卒業シーズンの3月になり春の訪れを感じる季節でしょうか。

エクアドルは現在カーニバル(Carnaval) 期間の真っ最中です。(2019年は3月2日から5日が連休です)

写真のように全国各地で子どもたちを中心に水鉄砲やカリオカと呼ばれる泡スプレーの掛け合いをします。街を歩いていても無差別で攻撃されてしまうので、全身びしょ濡れです。

攻撃に耐えられなくなる前に道端で売られているカリオカスプレー(約100円から300円)を購入し、かけてきた相手に向かってやり返すということで楽しみを見いだすイベントです。

それだけでなく、勿論パレードやコンサート、花火など全国各地で色とりどりのイベントが開催されていますので、この時期にエクアドルに来られる場合は違った角度から楽しめると思います。

さて、話はタイトルに戻りまして、今回は2018年3月と4月の活動を振り返っていきたいと思います。

(本日記は徐々に現在へと近づいていく予定ですので、しばらく過去の話にお付き合いいただけると幸いです)

2018年2月に配属先であるサリーナス市役所に着任し、同僚と共に現場を見学しながら市の防災事業について少しずつ把握してきたのがこの頃です。

市では、2014年に危機管理課が新規で立ち上がり(それまでは環境課や他の課が緊急対応をしていたそうです)、JICA技術協力プロジェクトの一貫で同僚や市長が日本へも研修へ行き、「防災」という概念を一から学んだと聞きました。

その後、エクアドルにおいても2016年4月に海岸部のエスメラルダス県(マンタ県北部)を震源とするM7.8の地震が発生し、

新たなJICA技術協力「地震と津波に強いまちづくりプロジェクト」が2017年7月から開始され、同地震で大きな被害を受けたエスメラルダ県アタカメス市、マナビ県ポルトビエホ市と並んで、海抜ゼロメートル地帯が広く分布し津波の危険性が高いサリーナス市も3都市目のプロジェクトパイロット市として選定されました。

上記のリンクを見ていただくとわかるように、主に津波避難計画策定や避難訓練の実施、それに伴う市民への防災啓蒙活動(防災教育)、市防災アジェンダ(防災にかかる長期的プランも含めた予算案)の策定、耐震性建築制度運用のためのガイドライン策定等の成果達成に向け、日本から定期的な専門家の訪問を受けています。

私はJICAボランティアとして市役所に配属され、同僚たちが本プロジェクトへ大きく関わっているためその成果達成のための活動を一緒にすることが多いです。

専門家の方が訪問された際、国家危機管理庁(現在はSNGRE)や教育省(MINEDUC)、都市開発住宅庁(MIDUVI)といった関係省庁と共に会議に出席させていただき、

成果達成のためにやるべき課題の整理や現地視察等、さまざまな活動を同僚たちと共に行っていく過程で、私は他の同僚と一緒に「防災教育」に主に取り組んでいくこととなりました。

どれだけ市が防災計画や避難経路を整備しても、そうした防災・減災対策が市民一人一人に普及しない限り防災啓蒙は達成されたとは言えません。

私は以前、東日本大震災の被災地にて地震津波で大きな被害を受けた地区の復興土地区画整理事業に携わっていました。その際には避難路や防波堤といったいわゆる「ハード整備」を行うことで、

今後の津波といったリスクからの減災対策を行うことを目的としていましたが、数々の災害においても、「古くからの伝承」「先祖代々の言い伝え」が津波から命を守る際の大きな助けとなったように、

教育という物理的に可視化されない「ソフトパワー」を駆使した地道な防災啓蒙活動をしたいと願い、現場・市民の方から一番近いフィールドで働くことを望んでいました。

そのため、直接市民の方々の前で防災研修をさせていただける機会というのは願ってもいないチャンスであり、私が防災隊員を志望した一番の動機付けでもありました。

(写真2枚目:サリーナス市内の小学校にて、防災研修の前に市役所危機管理部同僚、危機管理庁、教育省、学校教員と)

そうした前提のもと、3月末に初めての防災研修を行う機会を得ました。

場所は空軍(Fuerza Aérea Ecuatoriana)です。スペイン語での初めてのプレゼン(研修)が軍隊の方々の前で、しかも250名ほどの前で話をしなければいけないということで

前日から発表スライドと原稿を準備したり、自宅の部屋で練習したりとにかく緊張の連続でした。失敗したらどうしよう、全然理解してもらえなかったら・・・と色々不安を抱えていましたが、

同僚も一緒に研修してくれたので、とても心強かったのを覚えています。

そこから4月以降は教育機関の教員向け、消防署、地域コミュニティ等で研修の機会をいただきました。

普段は私が30分ほど、日本の地震・津波災害についての状況を写真・動画等を使用して説明し、そのあと同僚がサリーナス市内の危機管理状況の説明(市内から60km先にある海溝プレートにて大地震が発生した場合、最短16分で津波が到達する等)を行い、避難経路や避難場所、非常用持ち出し袋や家族避難計画の策定などについて説明を行います。

通常1時間ほどで終わる研修ですが、同僚の説明がとても上手なので、皆さん熱心に質疑応答を行い、時には2時間ほどかかる場合もあります。

また、日中の防災研修ではなく夜や週末であることも多いので、時間に関係なく要請があれば同僚といつでもどこへでも出かけて研修を続けています。

(写真3枚目:市内消防署での研修時の写真です)

特に、4月末からはJICAプロジェクトのパイロット校に指定された教育機関5校に、危機管理庁や市危機管理部の同僚と研修に入ることができ、念願の子ども向け研修が始まりました。

学校が教育省の管轄であることから、通常の防災研修のように発表原稿や資料を用意した研修が認められず、黒板への板書のみという非常に厳しい条件ではありましたが、

発表の上手な同僚たちを見ようみまねで私も30人前後の学級に入らせていただき、子どもたちに地震・津波とは?なぜ津波が起こるのか、大地震の際の避難についてなどさまざまな話をさせてもらっています。

回を重ねるごとに少しずつではありますが、人前で話す度胸だけはついていっている気がします。

(いまだに子どもたちが発する質問のすべてが聞き取れることはありません・・・)

こうした機会をいただけること自体にまず感謝の思いでいっぱいですが、私も同僚も常に一人でも多くの市民に災害時の避難の必要性を知ってもらい、さらにその研修の参加者たちが率先避難者として非常時にまわりの人々を助けることができればよいと願っているため、一度きりかもしれない市民の方との出会いを大切に防災研修を継続させてもらっています。

そんなわけで、5月以降の活動ふりかえりに続きます。それではまた。Hasta luego(アスタ ルエゴ)!

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