2022/05/12 Thu
文化 活動
♪5 古都キャンディ
アーユボーワン!こんにちは。スリランカ音楽隊員の久保治代です。
コロンボから車で約4時間のところに、かつての首都キャンディがあります。キャンディのスペルを、はじめ「Candy」と勘違いしていましたが正しくは「Kyandy」です。
学校視察とワークショップの開催、そして国立青年センターの視察に行ってきました。
内陸部に位置するキャンディは、コロンボよりも若干涼しく過ごしやすい気候でした。最初に降り立った時、何か特別なものを見たわけでもないのに、なぜか不思議と芸術の香りがしました。日本でいう京都と通じるものがあるのかもしれませんね。とにかく音楽人の私にとって、とても居心地のいい場所でした。
1日目はマハマヤ・ガールズカレッジです。
ここは真ん中にグランドピアノがあって、広々とした空間で授業が行われていました。一人ずつピアノの短いレッスンを受けたり、待ち時間にはノートに描いた鍵盤で練習したりと、時間を有効に使っていました。
午後は「ジャズ アンド ブルース」のワークショップを行い、近隣の西洋音楽科の先生方に集まってもらいました。特に創作に繋がる実技をということで、即興演奏を中心に、ジャズのコード進行やリズムスタイルなど講義をした後、実技演習を行いました。ジャズという切り口は先生方にとって新鮮だったようで、コロンボに帰ってきて他の音楽関係の人が「〇〇さんがすごく面白かったと言ってましたよ。」と教えて下さいました。
2日目は別の学校、ガールズハイスクールで同じメニューで行いました。
この学校でも子どもたちも先生方もとても熱心に取り組んでおられました。音階を覚える教材をスリランカでも取り入れていて、ここでも「ドレミの歌」を歌っていました。その時、ただ歌うだけでなくドレミのパートに分けて歌うゲームのようなやり方をアドバイスすると、「先生もう一回やろう!」と何度も子どもたちがリクエストしていて、音楽を楽しんでいるのが伝わってきました。
写真の通り、キャンディは自然豊かなとてもいい環境です。この学校の音楽室からもサルが10匹以上じゃれあっているのが見えて、ほのぼのとした感じでした。でも実際は、「サルはなんでも食べるから気を付けてね。私なんか口紅を食べられたんだから。」と笑いながらこの学校の先生が教えてくれるくらい、サルはなかなかの強者のようです。そういえば日本でも「サルとは目を合わせるな。」とよく言われていたなあ、とふと思い出して、ビデオを撮るのを早々に止めました。見てるだけだとかわいいんですが、あちこちに「サル注意!」と描いていたので、気を付けようと思いました。
3日目は国立青年センターです。
山間のぐねぐね道をどんどん進んでいくうちに車酔いして、途中から歩きましたが、標高が高いところにあって、スリランカにも山があるんだ!ということを実感しました。
この青年センターは「ベルウッド」と呼ばれる芸術に特化した施設で、多くの著名なアーティストを輩出しています。環境は申し分なく、勉強にもってこいの場所です。この当時は時期的に学生がいなかったのですが、それぞれの部屋を見せてもらい、説明を受けました。特に東洋楽器を紹介してもらって、見よう見まねで一緒に演奏させてもらったのはいい経験になりました。
私は西洋音楽教育を進める役割にありますが、そのためにはスリランカ人の中にある東洋音楽の要素を理解していないと、方向性を見失うのではないかという懸念がありました。そういう意味でも、ここで見聞したことは大きな財産になったのではないかと思います。とにかく貴重な体験でした。ただ今度行くときは、忘れず酔い止めを飲んでいこうと思いましたが(笑)。
さて、活動のために訪れたキャンディですが、折角の機会なので活動が終わって少し時間がある日に、スリランカの文化を理解するという目的で、2か所ほど別の場所を訪れました。
キャンディ・レイクサイド(1枚目の写真)
スリランカで有名な伝統的お祭りが各地で行われますが、その中で披露される音楽と踊りをこちらで見せてもらえるということで、音楽関係の私は早速観に行きました。滞在していたホテルから徒歩5分ほどのところにあり、演奏あり踊りあり、アクロバットあり、皿回しありファイヤーダンスありと、1時間ほどのプログラムでとてもバラエティに富んで魅了されました。でもこれらは出し物ではなく実際お祭りで行われているそうで、その幅広さに驚きます。数あるペラハラ祭りの中でもキャンディの祭りが一番有名で、毎年8月に行われます。コロナの影響で2年間無観客だったっそうですが、今年は見られるかもしれませんね。
仏歯寺(ぶっしでら)
読んで字のごとく、お釈迦様の歯が祀られているところです。実際は箱に入っていて、「あれが歯です。」と遠目にガラス越しに言われて観ても実感が湧きませんが、確かに入っているそうです。早朝から夜遅くまで参拝者は絶えず、土地の人は白い服を着てお参りされるのが一般的なようです。お堂では伝統楽器の太鼓が演奏されていて、(時間帯により演奏される)ここでも音楽との深いつながりを感じました。
同じ国でも場所によって雰囲気が違うのがよくわかりました。ふとみたら、何かの催しものに出かけるためか象が歩いていたり(重いから自分で移動する)、自然と人間がうまく共存しているといった印象を受けました。機会があれば、もっといろんな場所で活動したいと思っています。
それでは次回またお会いしましょう。ストゥーティ!
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