2019/04/30 Tue
文化 生活
環境隊員、ジョブチェンジ?キリバスで柔道を教えよう!
実は昨年派遣されて以来、活動と同じくらい力を入れていることがあります。それはキリバス柔道連盟でのお手伝いです。私は高校3年間柔道部に所属していたのですが、そのご縁で声をかけていただき、若者や子どもたちに対して柔道を指導する機会をいただきました。週2回、家の近くのマニアバ(集会場)まで稽古に通っています。
最初に柔道の指導のお話をいただいたときは、戸惑いの気持ちがありました。高校時代の3年間で黒帯(初段)を取らせてもらったものの、特に強い選手だったわけでもありませんし、卒業以来一度も道着に袖を通したことがなかったのです。しかし、ここは小さな島国キリバス。他に指導できる人材がいないというのです。
ボランティアとしてキリバスに来ているからには、お役に立てることならば何でもしたい。でも、試合で全く勝てなかった私ができることは何だろう?としばらく考えました。出した答えは、①日本の部活での稽古方法を教えること、②柔道を通じて日本の文化や言葉、礼儀を教えること、③柔道のルールを教えることです。
①の稽古方法ですが、まずは私自身が高校時代に経験した基本的な練習の流れを紹介しました。準備運動をして、打ち込みをし、投げ込み、寝技、乱取り、試合が近いときは模擬試合をします。その後、筋トレをしてクールダウン。最後に黙想をし、心と身体を鎮めます。私が来る前は準備体操の後いきなり模擬試合をしていたのですが、ケガの防止という面と、一つ一つの技を大切に練習するという面から、このような形を導入しました。
②柔道を通じて日本の文化や言葉、礼儀を教えることについては、「お願いします」「ありがとうございました」など、日本語のあいさつを取り入れるところから始めました。あいさつは、一緒に稽古する仲間への感謝の気持ちを表す大切なものです。また、畳の上に上がる前の礼の仕方などはそれぞれが独自のスタイルで行っていたので、「畳には左足から入って、右足から出る」という基本的な礼法をみんなで練習しました。
③柔道のルールについては、キリバスには「テボンワーネ(Te Bomwane)」と呼ばれる伝統的なレスリングがあるのですが、この格闘技との違いに重きを置いて説明しています。例えば、テボンマーネでは手やお尻など、相手の体の一部が地面に着いたら勝ちとなりますが、柔道で一本を取るためには背中から勢いよく着地させる必要があります。また、テボンマーネでよくみられる足を取って相手を転ばせるスタイルは、柔道では禁止となっています。
7月にはサモアで国際大会があります。現在、メンバーの選抜が進んでおり、皆の練習にも熱が入っています。キリバス代表が試合で力を出し切れるよう、文字通り体当たりでお手伝いを続けます。
最後に、このような形でキリバスの人たちと柔道する機会に恵まれたのは、高校時代にご指導くださった先生や仲間たちのおかげです。この場を借りて、感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。ありがとうございました!
(おわり)
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