JICA海外協力隊の世界日記

コスタリカ便り

漂流する移民

最近リベリア市内で黒人の姿を目にすることが多くなりました。

コスタリカのカリブ海沿岸部にはジャマイカから移住した黒人が沢山住んでいますが、太平洋沿岸部のグアナカステ県では珍しいことです。

1年半前に、バスに乗ってリベリア北部にあるニカラグアとの国境を見に行った時は、コスタリカの出入国管理事務所前で、行き場のなさそうな数人の黒人がたむろしているのを見かけましたが、当時市内で黒人を見かけることはほとんどなかったのです。

彼らの多くは”Ayudarme (私にお恵みを)”という紙を貼った空き缶を持って、スーパーや大きな雑貨店の前で、買い物客に物乞いをしています。また、朝早くリヤカーを引いて街の通りに捨てられたごみ袋からアルミ缶やプラスティックボトルを回収する黒人も増えています。

新聞報道によると、アメリカ合衆国への移住を求めて、アフリカのガーナやセネガルなどから移民が続いていると言われてます。彼等は西アフリカから大西洋を渡ってブラジルに入り、その後、コロンビア、パナマを経由してコスタリカに入国しているそうです。また、最近ではハイチやベネズエラからの移民も増えており、合計すると相当な数にのぼると言われています。

ところが、隣国のニカラグアは彼らの入国を原則認めていないため、リベリアから北部の国境にかけて移民が溜まっているのが現状です。そのため、コスタリカ政府は国境への通過地点になっているラクルス市郊外に仮設テント村を設置し、最低必要な食料や医薬品などを無償提供しています。滞在期間の一時延長も特別に許可しているそうです。

先日、バスでそのラクルス市に行った時もテント前から黒人が数人乗ってきました。コスタリカ人に聞いたら、それでも一頃に比べたら黒人の数はだいぶ少なくなり、現在は数千人規模になっているそうです。

何故かというと、闇の道案内人(当地ではCoyoteコヨテといいます)が、国境のジャングルを渡ってニカラグアに密入国させているからということです。この写真はコスタリカ北部のサンタセシリア市郊外から見たニカラグア湖に浮かぶオメテペ島です。湖の手前のジャングルの中に、左右(東西)一直線に国境線が横たわっています。

日本は海に囲まれているため、国境を意識することはほとんどありませんが、海外に出ると、このように “国境” というものを肌で感じることが出来ます。果たして、彼等はメキシコの国境を越えて、アメリカ合衆国に辿り着くことが出来るでしょうか?

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