JICA海外協力隊の世界日記

コスタリカ便り

母子家庭

ラ・ナシオン紙の家庭欄に、「12歳から17歳の母親から90分毎に赤ちゃんが生まれている」という見出記事がありました。実際に街を歩いていると、中学生ぐらいの小さく若い女の子が赤ちゃんを抱いて歩いている光景をよく見かけます。そして大抵女の子のお母さん?と思われる女性が付き添っていることが多いです。

2016年度のコスタリカの19歳未満の出産数は、上記のようなケースを含め11,000件にのぼるそうです。これは他の中米諸国でも共通していることですが、かなりの早熟社会と思われます。また、これらの国はカトリック教の国なので、宗教上も、法律上も中絶は基本的に認められていません。

先日、2002年の日本・韓国ワールドカップに出場したコスタリカ代表選手の応援をしに、日本に行ったことがあるという60代のコスタリカ人から聞いた話ですが、コスタリカでは街の中を歩いている妊婦が結構いるが、東京やソウルではほとんど見ることはなかったと珍しそうに語っていました。確かに両国とも少子高齢化が進んでおり、的を射た観察だなと思いました。

さて、出産のあと結婚まで辿り着けばよいのですが、現実には相手の男性に逃げられて母子家庭になる場合が多いようです。2014年度の国勢調査によると、リベリア市があるグアナカステ県では、実に全家庭の46%を占めています。また、ここは特に貧しい県の1つで、人口の3分の1が貧困層と言われ、貧しい家庭ほど母子家庭の比率も高くなっています。

仕事で県内奥地の入植地を訪問する機会がありますが、実際に小さな家に子供数人と一緒に住んでいる女性だけの家を見かけます。同僚の説明によると、たいていは父親の行方が知れず、養育費の送金もなく農作業や家事手伝いの仕事をしながら暮らしているそうです。

一方、コスタリカのよいところは、政府が貧困対策に積極的で、政府の入植地で農業を始めて一定期間が経てばほぼ無料で土地を分け与えてくれます。また、公立であれば、小中学校の教育費や医療費は無料です。

さらに、若年で赤ちゃんが出来てしまい、家族から孤立した少女や赤ちゃんを、少女が成人する18歳まで面倒をみてくれるel Patronato Nacional de la Infancia (PANI)という保育教育施設もあります。この写真もラ・ナシオン紙に載っていたものですが、左側の18歳の女性は、15歳の時に産んだ3歳の女の子を抱いています。右側の女性は16歳で1歳3カ月の男の子がいると書かれています。2人ともこの施設で社会復帰のための職業訓練を受けたこと、また、これから受けられることを喜んでいると報じています。なお、訓練期間中は、同施設内で子供の面倒を見てくれるとう手厚さです。

話は変わりますが、当国にはUnión Libre(自由結婚)という制度があります。これは籍を入れないで共同(同棲)生活をすることです。法律でいろいろな義務が生じる結婚は沢山とうことかも知れません。仕事でコスタリカの契約書を見る機会がありますが、契約当事者の名前に続いて既婚とか離婚何回とか、Union Libreと書かれていて、ここまで書かないといけのかと、ここでも日本との違いを感じる次第です。

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