JICA海外協力隊の世界日記

まるタイ日記

アネモネ

泰緬鉄道をたどる旅。最終日は、カンチャナブリー市内から1時間半バスに乗り、ヘルファイアパスへ。ここは泰緬鉄道のもう一つの最難所「地獄のかがり火」と呼ばれた場所で、ほぼ手作業で夜通し掘削作業にあたった捕虜たちによって拓かれました。鉄道が通れるだけの狭い幅に岩石が開削され、両側には高さ約10mの断崖が切り立ち、足元には当時の枕木や線路が残っています。

わたしがカンチャナブリーへ行ったときも、日中はうだるような暑さ、夕方は激しいスコールに見舞われましたが、75年前の鉄道敷設当時はこういった厳しい天候に加え、ろくに与えられない食事、長時間に及ぶ強制労働、決定的に不足した医療体制といった最悪の条件が重なりました。敷設作業がいかに過酷だったかは、想像するに堪えません。ヘルファイアパスの奥には、欧米軍の捕虜たちの慰霊碑があり、平和を祈って赤いアネモネが飾られていました。

最後に訪れたのは、JEATH戦争博物館です。J=Japan, E=England, A=America and Australia, T=Thai, H=Hollandを意味します。泰緬鉄道博物館と同様に、写真や遺留品などの貴重な資料を基に、当時の過酷な鉄道建設、強制労働や拷問の様子が展示・解説されています。そして、博物館の裏には、映画「レイルウェイ 運命の旅路」のモデルとなった永瀬隆さん(通訳の日本兵)の銅像があります。永瀬さんは戦後、2011年に93歳で亡くなるまで135回にわたってタイを訪問し、犠牲者の慰霊や和解活動、タイの貧しい子どもたちの教育支援に尽力したそうです。現在、クウェー川を望んで立つ永瀬さんの銅像は、今のタイや日本をどう見つめているのでしょうか。

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