JICA海外協力隊の世界日記

まるタイ日記

河の町チャチュンサオ

インドの神様ガネーシャ。夢を叶えるゾウとしておなじみですが、タイには3倍速で願いを叶えると評判の、ピンクのガネーシャがいます。同じタイのJOCV(青年海外協力隊)で、チャチュンサオ県自治体で観光開発促進の活動をしている安藤隊員の紹介で、わたしも観光に行ってきました。バンコクの東に位置し、クメール語で「深い運河」という意味のチャチュンサオは、むかし、切れ目を入れないと食べられないくらい大きな魚がたくさん釣れたため、別名ペートリウ(「八つの切れ目」の意)とも呼ばれています。

チャチュンサオには、ワットソートーンという、タイで2番目に参拝者が多いお寺もあります。タイには奇跡の仏像が3体あり、そのひとつが、こちらに祀られているためです。この仏像は、むかし、バンパコン川を逆流して浮かんでいて、どこで引き揚げようとしても無理でしたが、この地では引き揚げることができたそうです。それ以降いいことが起こるようになり、願いも叶うと評判になったとか。わたしが行った日は、タイの新年とあって、多くのタイ人が参拝に来ていました。

バンコクとチャチュンサオとの往復は、タイ国鉄を利用しました。タイ人は、無料で乗ることができます。その代わり、指定席や予約席などはなく、すべてが自由席で、つまりは早い者勝ちです。行きの列車内で、席を探して歩いていると、ある男の子の向かいが空いていました。中学1年生くらいの男の子で、どこか寂しそうな目で遠くを見つめながら、たった一人で列車に乗っています。
話を聞くと、バンコクから郊外のうちへ帰る途中で、まだ朝ごはんを食べていないそう。こういうとき、タイ人は助け合いの精神があって、車内販売の軽食やジュースを、少年に奢ってあげます。こういう思いやりの文化、あたたかいなぁと思います。でも、結局、男の子は列車内では軽食を食べず、うちに持ち帰っていきました。空腹を我慢して、家族で分け合って食べたのでしょうか。
新年にもかかわらず、一人で、ごはんも食べず、無料の国鉄に乗るこの少年は、もしかしたらバンコクへ仕事を探しに行っていたのかもしれません。教育にたずさわる者として、まだまだ格差のあるタイ社会について 改めて考えさせられた、新年の出会いとなりました。

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ