2020/08/07 Fri
活動
新たな一歩

2020年3月に任期を終了してから、すでに5カ月が経とうとしています。4月に長野県の公立高校に復職したものの、新型コロナウイルスは教育現場にも多大な影響を与え、通常通りの教育活動が再開できたのは6月に入ってからでした。それでも感染対策をしたうえでの活動のために、これまで通りにはいかず試行錯誤の日々が続いています。JICAボランティアとしての経験を生徒たちに還元する機会をうかがっていましたが、休校で失ってしまった2カ月間の学習を取り戻すことが最優先となり、どうしても後回しになっていました。しかし、夏休み以降の学習計画を立てている中で、何とか実施できる目途が立ってきたので紹介いたします。
「産業社会と人間」の学習単元のテーマとして
以前もこの世界日記で紹介しましたが、私の勤めている高校には「産業社会と人間」というちょっと変わった授業が行われていて、私はその授業の主任をしています。従来の教科・科目の枠組みを超えた学習が可能となっているこの授業で、国際協力や異文化理解をテーマとして生徒たちと共に考えていく授業を私はとても楽しみにしていました。休校の影響で延期になっていたこの授業も何とか10月ぐらいには実施できそうです。海外の遠い国の話ではなく、生徒たちの身近な課題としてとらえられるような内容を目指して教材研究していこうと考えています。
「文化講演会」の講話として
新型コロナウイルスの感染防止対策として、学校外部から講師をお呼びすることが難しい状態です。本校では毎年「文化講演会」として様々な分野で活躍されている方をお招きして、全校生徒にお話ししていただいておりましたが、今年はそれが難しい状態となっています。そこで、私にこの文化講演会の講師としての依頼がありました。テーマとしては国際協力とのことなので、学生時代の留学生との交流や20年前の青年海外協力隊員としての活動と合わせて、ミクロネシアでの経験を話そうと思っています。
「学習用ウェブサイト」の作成
新しい生活様式が求められていますが、それは学校も例外ではありません。黒板とチョークの授業も捨てがたい利点がたくさんあるのですが、それに固執していては進化が望めません。今後も予想されるリモートでの学習を進めるために、私はインターネット上で物理を学習できるウェブサイトを作り始めました。これはミクロネシアでの数学学習用のウェブサイト作成の経験が大きく役に立ちました。黒板とチョークに加えて新たな道具を手に入れたことが、私にとっての「新たな一歩」となっていることは確実です。しかし、残念なことに、このサイトは長野県の教育関係者と高校生しか閲覧できません。できるだけ多くの生徒に還元したいと考えていた時に、この英語版を作れば現在家庭学習を強いられている世界中の高校生に、学習の機会を与えることができるのではないかと気づきました。冒頭の写真はこのウェブサイトの一部です。まだ作り始めたばかりで、不十分なものですが、これから時間をかけて内容を充実させていきたいと思っています。よろしければご覧ください。
https://sites.google.com/view/physics-misawa/home
新型コロナウイルスの影響だけでなく、社会はこれまでの常識や経験が通用しない変化の激しい時代と言われています。そんな社会を乗り越えるためも自分自身の変化が求められていますが、これは想像以上に難しいものです。しかしこれを「新たな一歩」と積極的にとらえることで、ワクワクした前向きなものにできると考えています。
平成12年度1次隊青年海外協力隊員としての楽しかった経験を、再び味わってみたかったことから始まった2018年度1次隊シニア海外ボランティアとしての活動も予想以上に貴重な経験となりました。この経験は中毒性、依存性が強く、重い禁断症状に見舞われます。何時かまた再び国際協力分野でお手伝いできるように、さらに自己研鑽に励み続けたいと思います。これまで関わったすべての皆様に感謝いたします。ありがとうございました。