2019/08/23 Fri
文化
ナンマトル(ナンマドール)遺跡


ナンマトル(Nan Madol)遺跡をご存じですか?日本語表記では一般的に「ナンマドール」と表現されることのほうが多いようですが、ポンペイ在住の考古学者である長岡拓也博士から、ポンペイ語の発音に最も近いものとして「ナンマトル」のほうがふさわしいと教えていただいたので、ここではナンマトルと表記させていただきます。
ポンペイ島の市街地であるコロニアからは車で1時間半ほどで行くことができるナンマトルは100以上ある人工島群の総称で、2016年にユネスコの世界遺産に登録されました。遺跡の範囲は約70haもあり、東京ディズニーランドに匹敵する大きさのようです。これまでに何回か訪れたことがありましたが、先日に訪れた際は天候がこれまでで最も良い状態だったので、今回はその時の写真で紹介させていただきます。


ポンペイ語には文字が存在しないために、詳しい記録は残っていないのですが、西暦500年から1500年の約1000年という非常に長い期間をかけて人工島と石積が、少しずつ築かれたようです。非常に密度の大きい玄武岩でできており、石の重さは1トンから20トン以上になると推定されています。かつてこの地を治めていた王族の住居とされていますが、詳しいことはいまだによくわかっていないようです。この地域にはその時代に金属器はもちろん、水準器、滑車、車輪等は存在せず、20トンから最大90トンにいたる巨石を、数十キロ以上離れた石切り場からこの地にどのようにして運び、10メートルほどの高さまで、いかにして積み上げたかは全く分かっていないようです。現代のような重機や工作機械が存在しない中で築かれた、その美しいアーチ状の石積はとても神秘的な魅力を持っています。


赴任直後のポンペイ語の授業で、文化や歴史の学習としてナンマトルのことを学びましたが、そこではポンペイの人々に広く信じられている伝説として、神様や魔法の力を利用してその巨石を運んだ話を聞きました。ポンペイの人々にとって誇りであるこのナンマトル遺跡は、実は世界遺産への登録と同時に遺跡保存への脅威から危機遺産リストにも登録されているのは残念なことです。この美しい遺跡がこれからもポンペイの人々のみならず、人類の誇りとして存在し続けてほしいと思います。
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