JICA海外協力隊の世界日記

Mori先生のLet's go! ヤップ島!

ありがとうのバトン

白熱のマイルリレー!!!

マイクロネシアンのプライドをかけて、駆けて駆けて駆け抜けます!

Microgames 2018の陸上競技は昨日をもって4日間の熱戦に終止符が打たれました。
この2年弱、ここヤップ島で生活し、こんなに心が震えた日々はありませんでした。
チームヤップの選手の奮闘は勿論のこと、他のチームの選手たちの死力を尽くした戦いを目の当たりにし、やっぱり陸上競技はいいなと思うことができました。

チームヤップとしては2日目以降、さらに二つの銅メダルを獲得し合計3つの銅メダルを手にすることができました。
内訳は砲丸投、円盤投、走高跳です。
私が選手時代に試行錯誤したフィールド種目でメダルを獲得できたので感慨もひとしおです。

正直試合を通して思い通りにいかないこともありました。
ただでさえギリギリの人数編成で臨んだ今大会、その上けが人が出てしまいリレーは棄権せざるを得ませんでした。
これは本当に悔しい…開催地としてリレーにはどうしても出たかったというのが本音です。
そこまで選手を導けなかったのは私の力不足です。

この島で陸上競技をするということ、スポーツをするということは本当に難しいことでした。
時間や場所がないわけではありません。ですが現地の人の心をつかみ、「スポーツをしてみよう!」という気持ちを持ってもらうことは容易ではありませんでした。
赴任した当初はとにかく会う人会う人に声をかけ、「走ろう!走ろう!」と言い続けました。
一緒に練習してくれる人がなかなか現れないという現実。
興味を持ってくれても長続きしないという事実。
これを解決する手立てはなかなか見つかりませんでした。

ただどんな時も、私は島の人の話を聞くことを止めませんでした。
あるとき、現地の人から言われたことで心に残っていることがあります。

「君はヤップの人とビートルナッツ(現地の嗜好品)を噛み、ときに飲みにケーションして仲良くなってるのか?違うだろ?ヤップ人の心を動かそうとするにはそれなんだよ。ヤップをよく知っている年配の人と仲良くならないと先はない。」

反論の余地はありませんでした。

若い世代に声をかけ続けて選手を集める。
それは私が信じてきた方法でした。
でもなかなか上手くいかなかった。
そのときに柔軟に考えを変える必要があったのです。
ここヤップでは地域で顔の利く年長者から若者に声を掛けてもらうのが最善の方法。
手順を大切にし話し合いを重んじる文化を尊重する必要があったのです。

まだまだ…まだまだ…私には学ぶ余地があるということなのでしょう。
こうした経験を授けてくださったヤップの人たちに感謝して、今後はそれを還元していきたいと思います。
どこで生きようとも、人の心を理解しないといけない。
ヤップで私が得た教訓です。

さてメダルをとれた競技もそうでなかった競技もありましたが、力を出し切った選手の表情は清々しく、とても印象的でした。
「今後も走り続けるよ。俺にはスパイクもウエアも経験もあるから」
大会翌日の今日、町で会った一人の選手が話してくれました。

また走ってみよう。

今回の選手がそんな気持ちをもって走り続け、次のマイクロゲームズで活躍してくれることを願います。

私の活動の集大成は今大会でした。
大きなことができたのかはわかりません。
ですが、彼らの晴れやかな笑顔にヤップの未来を託したいと思います。

残された期間はこの島の人たちに恩返しをするために使いたいと思います。
本当に本当にありがとうございました。

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