JICA海外協力隊の世界日記

南太平洋の陽気な島フィジーよりBULA!

チーフリーアイランド、Bau島

「バウ島に行かなかったら本当の意味でフィジーに行ったとは言えない」ー約2年間フィジーにいる間に何度も現地の人たちから耳にしてきた言葉です。

バウ島はこの赤丸で囲んだところです。青く囲んだところが現在の首都スバになります。

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この地図の大きさでは、そこに島があるのかどうかも見えづらいと思いますが、フィジーの首都があるビチレブ島からボートで5分もかからずに渡れる場所に位置し、潮が引いている時は歩いてでも渡ることができます。

大きさは約22エーカー、東京ドーム約2個分の大きさです。島には3つの村があり、北端から南端まで歩いても5分ぐらいです。

そんな小さな島ですが、フィジーではチーフリーアイランドと呼ばれ、誰もが一目を置く島です。

以前、バウ島からさらに南東にある島に行くことがありましたが、バウ島の横を通る際、ボートは速度を落としました。船長はチーフリーアイランドに向かって挨拶をし、敬意を表しました。

そこには歴史的な背景がありました。

1800年代、フィジーでは至るところで部族間の抗争がありました。そしてカンニバリズム(食人文化)により、戦いに負けた者、チーフ(部族の長)に逆らった者は処刑され、食べられていたそうです。

その中でバウのチーフは当時、頂点に君臨していたそうです。

こんなに小さな島で人口も少ないのになぜそのような権力があったのかというと、バウのチーフは大変な戦略家だったようです。その戦略の一つが政略結婚です。チーフの娘たちを他の部族に嫁がせることで他の部族を味方につけていったそうです。

たくさんの島から成るフィジーの中でもとても小さな島にも関わらず歴史に名を刻んだだけあって、足を運んでみるとフィジーの歴史や文化がギュギュッと凝縮されていました。

この建物はチーフが客人と面会したり儀式を執り行う場所で現在でも同様に使われています。昔は建物全体が茅葺だったそうです。

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これは歴代のチーフのお墓です。この建物の地下が部屋のように分かれており、歴代のチーフが眠っているそうです。このお墓にはチーフの直系の家族だけしか入ることを許されません。

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これは1800年代前半まで使われていた処刑台です。罪人となった者は中央にある円柱状の石の奥にひざまずき、石の上に顎を載せます。その背後から武器で首を斬られます。

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この石も同様に処刑台として使われていたそうです。ただ、現在では白く塗装されて教会に安置されており、窪んだところに水を溜めて洗礼の儀式に使われています。

かつては血で染められていた石が今では罪を洗い清める石になっています。

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この小さな池は村の人々の水浴びの場、要するに公共のお風呂だったそうです。向かって左側が女性、右側が男性というように男女で水浴びをする場所は決まっていたそうです。

ところで、フィジーでは伝統を重んじる村はたくさんあり、それぞれの村でチーフが決めたルールやしきたりがあります。

もちろん、バウ島も例外ではありません。今回の短い滞在で私が知ったルールは以下のとおりです。

・男女共にフィジーの正装を着用のこと

・頭に花飾りをつけてはいけない

フィジーの人はよく身近に咲いている花を髪に挿しますが、この村の中では禁止です。私が前髪を留めていた小花のついたピン留めですら、外すようにと注意を受けました。

・髪の毛は長ければ束ねておくこと

・教会は土足厳禁

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・歩く時は横に広がらず、縦一列に並んで歩くこと

歩道以外の芝生の上でも一列縦隊を守らなければなりません。ちょっと喋りながら歩くと横に並んでしまうと思いましたが、若い人たちもみんなそのルールを忠実に守っていました。

ある意味、封建的で都会のような自由が制限されている島の生活ですが、驚いたことに、この島に生まれ育った人たちはあまりこの島から離れたがりません。首都スバに勤務している人たちも朝5時に家を出て夜は10時過ぎに帰ってくる生活です。都会に住めば生活費がかかるという理由もありますが、家族とこの島、この村で生活するのが心地よい、というのが彼らの一番の理由です。

この島の住民誰もがお互いを知っており、私のようなよそ者が訪れれば誰もがすぐに気づきます。そういう意味でも安心安全な生活環境なのかもしれません。

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今回は活動で知り合った女性の出身地ということで、彼女のお陰で連れていってもらうことができました。このような伝がなければ、フィジー国民であっても簡単に出入りできる島ではありません。同僚たちからもあなたはとてもラッキーよ、と羨ましがられる、大変貴重な経験をさせてもらいました。

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