JICA海外協力隊の世界日記

みんなあのねのセネガル便り

みんなあのね、「ジビの生まれ育った国」

ジビというのは私のセネガルでの名前である。

セネガルに赴任後、現地語学訓練のときにお世話になった

ホームステイ先の家族がくれた名前である。

ジビの生まれ育った国、日本は、

セネガルの子どもたちにとって遠い存在の国である。

中国と間違えられることも多く、

日本人だと伝えても日本という国を知らない子どももたくさんいる。

オトナにとっても身近な国とは言い難く、

東京オリンピックが開催されることを伝えても、

反応はいまいちであったりする。

活動先のシテニャフ幼稚園で、子どもたちが浴衣を着る機会を設けた。

丈の長い浴衣を見た子どもたちは、「女の子の服だ」と言い、

男の子たちはなかなか着たがらないでいた。

それでも一度誰かが着てしまえば

「ボクも」「ワタシも」の嵐で、みんな順番に袖を通した。

浴衣の帯に注目する先生もいて、

「帯をほどくというイタズラは子どもたちの中であるのか」と

少し笑いながら尋ねてくる先生もいた。

色鮮やかな浴衣を着た子どもたちの笑顔は映えていて、

もともとセネガルにあったかのように着こなす子どもたちの姿が

とてもかっこよかった。

孤児院では、子どもたちと日本文化紹介を兼ねた作品つくりをした。

壁に掛けるカレンダーの写真を利用した作品である。

日本の稲作の風景や夏祭りの様子、

姫路城や北海道の大自然など6枚の写真を使って仕上げた。

セネガルの子どもたち、

特に北部に住む子どもたちは緑の自然と親しむ機会はなく、

木々が生い茂る自然は心に残ったようである。

「日本に行きたい!」と言う子もいれば

「別に行きたくない」と言う子もいたけれど、

セネガルから遠く離れた日本という国を知るきっかけになったと思う。

赴任して1年半以上が経った今、セネガルで暮らしていると、

意外と日本と似たところがあることに気がつく。

その一つがチェブジェンである。

セネガルには、チェブジェンと呼ばれるセネガル料理がある。

これは、魚の煮汁で野菜や魚もいっしょに炊いた米料理で、

ピラフやパエリアにも似た料理である。

野菜や魚をとにかく煮込み、

魚の出汁でうまさを引き立てるチェブジェンは、

日本人の口にもとてもよくあう。

このチェブジェン、各家庭によって味が少しずつ異なるが、

どこのご家庭にお邪魔させていただいてもおいしいのだ。

日本文化紹介をするときに折り紙を紹介することも多い。

孤児院の子どもたちにとって折り紙はとても身近なものになっていて、

折り紙の折り方を紹介する本を見ながら折っているほどだ。

折り紙でつくったサングラス、

折り紙でつくったネクタイ、

折り紙でつくった腕時計にブレスレット。

サングラスは小さく出来上がってしまって、

耳にかけることができず、

セロハンテープでこめかみにとめる子どもたち。

「あした学校にもっていってみんなに自慢する」と言う子どもたち。

見ていて微笑ましい限りである。

「折り紙は、日本の子どもにとって遊びなのか」と

驚いた顔をしたセネガル人から言われることがある。

セネガルの多くの人にとって折り紙は難しく、

子どもが遊びで折り紙をすることが驚きらしい。

私がセネガルに来て折り紙を教える機会は何度もあったけれど、

その度、私にとっても驚きがあった。

長方形の紙を使って舟と紙鉄砲を折れる子どもがいるのだ。

この2つだけ、折れる子がいるのである。

私が知らなかった折り方で、

話を聞いていくと大体の子どもが折れるらしい。

なぜこの2つだけ折り方が知られているのかは分からないけれど、

セネガルと日本の共通点に、

実は折り紙もあるのではないかとうれしくなった。

セネガルと日本、遠いようで近い国なのかもしれない。

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