2018/01/11 Thu
活動 生活
最近の活動状況について~貯金講座開講中!
2018年を迎えました。ルワンダではクリスチャンが多くクリスマスがお祝いのピークといった雰囲気で、新年のお祝いはわりとあっさりしていました。
今回は最近実施している活動の一つ、ユースセンターでの貯金講座について紹介します!
■YEGO Center Project:貯金講座開講
私はYEGO Centerという青少年技術支援センターで空手を教えていますが、かねてから「若者の収入向上に資する支援が何かできないか」と考えており、センター統括者に提案したところ「是非!」との事。話し合った結果私が講義を開くことに。
第一弾は「貯金(saving money)」というトピック。今回は学校の休み期間に合わせ12月中旬~1月の1ヶ月半実施予定で、年末までに第4回目まで講義しました。
このトピックにした理由は、以下ルワンダの現状と私のルワンダの人への印象を考慮した為です。
◇「貯金講座」にした理由
*皆事ある毎に「お金が無いのが問題だ」と口にしているが、具体的な策を講じられていない(もしくは対応策を知らない)
*学校卒業後すぐに高収入の定職に就くのは困難
*新しいビジネスを始めるのに元手資金を確保するのはなかなか難しい
*「定職に就けない」→「お金を沢山得られない」→「豊かになれない」、という考えにやや傾きがちの印象がある
*日々(もしくは時々)少額のお金を手にする機会はあるが、わりとすぐに使ってしまう印象がある(携帯代やジュース等生活必需品以外にも使っている様子)
*飢える程に困っている人は少ない印象であり、多くはないが多少貯蓄に回すだけの余剰はあるはずだと予想(少なくとも私の住む地域について)
■事前準備
事前準備は10月から少しずつ始めました。
◇10月
*センター統括者に支援活動を打診し「是非」との申し出を受け、アイデアをまとめて簡単な企画書を作成。
◇11月
*企画書を基に何度か打ち合わせ
*大筋の方向性に合意を得た後、具体的に何のトピックでレクチャーをするか議論。
*「貯金」のトピックに絞ってアジェンダと詳細スケジュールを作成し、再提案。スケジュールに関しては元々1~2月の2か月間で実施予定であったが、「12~1月が学校の休暇期間なので、前倒しで実施してほしい」との強い要望があり、変更。自分の予定も再調整。
*事前に必要な物をリスト化して準備をしてもらう。
*統括者から依頼があり、YEGO Centerの全体ミーティングで本プロジェクトについてプレゼン。同席者(各地域のユース担当者)の合意を得て、参加者募集の協力を仰ぐ。メンバーは当初10人の予定が25人に。
【写真①:事前打ち合わせ。企画書を基に色々意見が】
【写真②:全体ミーティング。この後壇上でプレゼン】
◇12月
講義開始
途中色々ありましたが、とりあえず計画は進み、12月から無事開講しています。
■講義内容
講座は各回テーマを一つ決めてレジュメを作り、それに沿って教えていく形式です。
因みに、12月中に開講した4回分の内容は以下です。
*第一回:この講座を受講するにあたっての目的意識の確認(=何の為にお金が必要?)、及び基本的ルールの確認(=遅刻をしない、学んだ事を他の人にも教えて実践する、等)
*第二回:現状把握(=自分の1週間の出納状況を確認する)
*第三回:貯金の目標と計画設定の仕方(=何の為に、いつまでに、いくら貯金が必要か。その為に毎日いくら貯金すればよいか)
*第四回:ライフプランについて(=自分の将来の夢は何か?その為に各段階で学ぶ必要があるのは何か、それに必要な金額はいくらか)
【写真③&トップページ:第一回。この日は教室の鍵保管者が鍵を持ったまま外出してしまった為、屋外で】
【写真④:第二回。講義後子供達の得意のダンス披露】
【写真⑤:第三回。他の外国ボランティア団体のアクティビティと重なってしまったので、急遽話し合い、私の講義の後に彼らの活動をすることに。私もダンスに参加】
【写真⑥:第四回。ライフプランを絵でも表現】
インタラクティブ(双方向的)な講義になるように、一方的に話すのではなく、レジュメに数字や絵を記入させたり、意見を出して貰ったり、自分の書いた内容を発表して貰ったり、という事を取り込んでいます。
対象がユース(10~20代)の為、各論に細かく入っていくよりも、概論を伝え考え方や方向性を示し、この講義がこれから考えるきっかけになればと考えています。
特に第三回目では、子供達の驚きを引き出せたのが面白かったです。講義の内容は貯金計画を考えるというもので、まず子供達に貯金の目的と金額を考えて貰いました。それぞれ意見がありましたが、「収入を得る為に鶏(家畜)を買いたい」という子が多くいました。それには1羽5,000Frw(≒600円)程必要との事。そこで、「今すぐに5,000Frw用意するのは難しいけど、1年間で貯金すると考えてみよう。1ヶ月では、1週間では…そして1日いくら貯金すればいい?」と質問し、一緒に計算。すると1日当たり20Frw未満という計算に。「毎日たったこれだけ!?こんなの簡単だよ!(※)」と皆驚きながら大笑い。習慣にない「貯金」を実際続けるのはなかなか大変だとは思いますが、この回の目標であった「日々こつこつ貯めれば大きな金額になる」、という事を理解して貰う事は出来ました。
※ルワンダでは100Frwコインが日本の100円の感覚。子供がちょっとおやつを食べたい時は100Frwコイン1枚で買えるビスケットや飴を買っている。
【写真⑦:一人ずつ前で発表】
今月は貯金箱を作り、実際に貯金を始めるところまでをこの講座のゴールとしています。
この貯金講座で貯金の習慣がつけば、将来の生活の安定に加え事業資金確保の一助になるかもしれない、と考えています。これで事業資金を確保し、自分達のビジネスを立ち上げる事が出来れば、遠回りながら収入向上に貢献できると考えています。
■アシスタントの重要性
私が幸運だったのは、今回非常に熱心な協力者に恵まれた事です。
この講座ではキニアルワンダ語の通訳係としてルワンダ人のアシスタントを依頼しています(彼は4か国語に堪能)。彼が別件で来られない場合は、代役を立ててくれます。彼に通訳をして貰いつつ、この講座のノウハウを修得して貰って、ゆくゆくは彼ら自身で講座を開いてもらえれば、とも考えています。
また統括者も時間の許す限り参加し、指導のサポートをしてくれています。私のレジュメに具体例などを補足してくれるので助かります。
ルワンダ人の指導係がきちんとマネジメントしているので、子供達も規律をもってレクチャーを聞いています。
彼らとしてもこの講義に強い関心を持っている為非常に熱心にサポートしてくれ、私の要望にも一生懸命対応してくれます。私一人では毎回の講義を終始マネジメントするのは難しかったので、非常に助かっています。
【写真⑧:上_アシスタントが通訳(右)/下_統括者もレクチャー(左)】
■ちょっと困っている点
この講義ではタイムマネジメントの大切さも身につけて貰う為、時間厳守で行っています(ルワンダ人は時間におおらかすぎる面があるので)。が、なかなか時間通りには集まりません。遅刻しても怒りはしませんが(それぞれの家庭の事情もあるかもしれないので)、必ず「次回からはきちんと時間通りに来るように」と一人ずつに伝えます。
他にも、ちょっと困った事が幾つかあります。
*開講日のスケジュールを忘れる
*筆記用具を忘れる(家にはあるのに忘れ、隣の子のペン[その子も一本しかない]を借りている)
*教室のダブルブッキングがある(統括者のスケジュールミスで他のアクティビティと重なってしまった)
日本ではまず考えられませんが、ここはルワンダ、私が外国人。「まあでもそんなものかな。あまり目くじらを立てずに少しずつ変えていければいいかな」、と思いながら進めています。「この講義に意味がある!」と思った人達が意欲を持って参加してくれればよいと考えています。
■見えてきたいい点
また、だんだんといい処も見えてきました。
*「意見を出して」というと、直ぐに手が上がる。同じ意見でも自分の意見としてきちんと発言する
*分からなければ、きちんと質問する
*「前に出て発表」というと、恥ずかしそうにしながらも堂々と発表する
*段々と時間を守る習慣が身についてきた
*統括者やアシスタントが事前準備やマネジメント、私の依頼事項に非常に好意的に協力してくれる
積極的に参加してくれると、私もやりがいを感じます。
■今後について
私は日本では銀行で勤務していましたが、だからといって業務で貯金の仕方を教えた事があった訳ではありません。が、お金を一つの手段として考える姿勢は多少は身についていると思います。
ルワンダの現状を踏まえ、収入を向上させる為には、職業技術を教えるだけではなく、資金確保の手段を指南するのも重要だと考えています。今はまだ若い彼らですが、彼らが大きくなりビジネスを始めたいと考える時期に選択肢の一つとなれば、と考えています。
次のステップとしては、その貯金を使って事業を立ち上げる部分をサポート出来れば、と考えています。
また、SACCO(=ルワンダの公共マイクロファイナンス機関)と協同で実施するのも視野が広がって面白いかなあとも考えています。
■ルワンダでのビジネスチャンスについて(補足)
ルワンダは今立ち上がろうとしている時代です。潜在ニーズとビジネスチャンスは多くありますが、ビジネスを立ち上げる為の資金とマネジメントの手法が不足していると感じています。
ルワンダの人々は勤勉で、他人に対する配慮の文化があります。日本人に通じるものを感じ、日本との親和性は高いのではと感じています(ルワンダの人々の写真や雰囲気を日本の人に伝えると、「日本の昭和30年代のようだ」と言われます)。
私が銀行で法人営業をしていた頃、日本の中小企業の中には、新規開拓の活路として海外進出を思案しつつも各国の情報が不足していてなかなか踏み出せない、という現状を見てきました。また事業部門で勤務していた頃も、欧米やアジアへの進出事案はよく耳にしましたが、アフリカへの進出を具体的に考えるのはやや突飛な発想である、という雰囲気がありました。
商習慣の異なるアフリカでのビジネスは困難極まりないですが、逆にこのチャンスを日本の既存・新規企業が活かすきっかけがあれば…と思っています。
ビジネスとして継続的に関われたら可能性が広がるだろうなあと感じています。
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