JICA海外協力隊の世界日記

ルワンダかけはし通信~ブホロ ブホロ

携帯電話~その①:利用状況と通信事情

暦の上ではすっかり大雨季に入ったはずなのですが、昨年と比べて殆ど雨が降っていません。これからの水不足が大いに懸念されます...。

さて、今回はルワンダ人も使用頻度の高い携帯電話の利用状況と、通信事情について紹介します!

■ルワンダ人もヘビーユーザー

意外な事に、ルワンダ人も皆大概携帯電話を持っています。1人1台、多い人は2台以上。私の近隣の地域では、裕福ではなくても一家に1台は持っているように見受けられます。 固定電話が普及する前に飛び越えて携帯電話が浸透しています。固定電話のように電話線を引く必要が無いので、普及率はかなり高いような気がします。日本の昭和時代に携帯電話が登場、というと想像出来るでしょうか。村のエリアで、携帯電話を片手に着古した服を着て農作業をしているルワンダの人々を見掛けると、ちょっとしたカルチャーショックを受けます。

そして、路上やオフィスやバスの中で、大声で話しています。「他人に聞かれたら恥ずかしい」とか、「車内では静かにするのがマナー」という感覚はないようです(そもそもの話し声が皆大きい...)。

【写真①:地方の小さな家電屋さんにも携帯電話は売っている】

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■スマホは高級品

スマホは高価で比較的裕福な人の嗜好品ですが、それでも郡庁の同僚達は持っています(その代わり、スマホの窃盗事件も多い)。「日本はスマートフォンはいくらで買えるの?」とよく聞かれます。先進国の日本では高性能のスマホが安価で買える、というイメージが広がっているようです(実際には同じ位の価格帯です)。

■メッセージはE-mailよりもSMSが主流

ルワンダではE-mailよりも、SMS(=電話番号宛にショートメッセージが送れるサービス)やWhatsApp(=日本のLINEのようなメッセージアプリ)の方が普及しています。WhatsAppのアイコンの写真をしょっちゅう変えたり、写真を送り合ったりもしています。新年や、宗教の節目の時にはグリーティングメッセージを送り合っています。年賀状や暑中見舞いのような感じです。

【写真②:WhatsAppで貰ったグリーティングメッセージ:上_クリスマス/中、下_新年のお祝い(英語/キニアルワンダ語)】

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が、どちらかというと文字でメッセージを書くのが得意ではない人が多いようで(識字率も関係あるかもしれませんが)、やはり一番使われているのが通話です。何かあるとすぐ「電話を掛けて今聞こう!」という感じです。相手の都合を気にして掛けるのを避ける...という感覚はあまりないようです。

■通信・電話会社

ルワンダには大きな通信会社が2社あります。MTN社とAirtel社(近年Tigo社と合併)です。大きな都市には各社のセンターがあり、月額支払いやルーターの購入等が出来ます。但し、本契約は現時点では首都キガリのセンターのみ対応の様です。

その他、路上には各社のアンテナショップならぬ『パラソルショップ』があり、電話料金のチャージ できます(詳細後述)。その名の通り、大きなパラソルを看板代わりにした露店です。

【写真③:MTNセンター】

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【写真④:イソコ(市場)やバス停、道路に並ぶパラソルショップ】

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■電話料金はチャージ式

電話料金は『エアタイム』という通信料を都度購入してチャージします。

①路上にある各通信会社のパラソルショップに行き、店員にチャージしたい金額を伝える。

②金額に応じたエアタイムのスクラッチカードを購入する。

③カードをスクラッチして、記載されているシリアル番号を携帯電話に入力し、チャージ完了。

【トップページ&写真⑤:パラソルショップの店員からスクラッチカードを購入しチャージする】

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路上のどこでも各通信会社のパラソルショップを見掛けるので、気軽に購入する事が出来ます。携帯電話が広く普及しているのが実感できます。 エアタイムが無くなると、友人間で電話の貸し借りをするのが普通です。その為、しょっちゅう知らない電話番号から掛かってきて、後から確認すると「エアタイムが無かったから別の人の電話から掛けたんだよ」という事が多いです。私はセキュリティ上知らない番号から掛かってきた場合は取らないのですが、初めの頃は「友人の電話を借りて掛けたのに、なんで取らなかったの?」と不思議がられました。セキュリティ事情を説明し、納得して貰っています(大概が急用ではないので、問題はありません)。

■モバイルマネー

「日本と違って面白いな」と感じる事の一つは、携帯電話の普及に伴いルワンダを始めアフリカで『モバイルマネー(=電子マネー)』が普及している点です。ここでいうモバイルマネーとは、前述のエアタイムを通貨代わりとし、携帯電話番号宛に入出金、送金が出来るシステムの事です。

ルワンダの人々は日本の銀行窓口やATMのような感じで使っています。道端のパラソルショップで店員に依頼し入出金、送金が出来る、というのがポイントです。「こんな無防備な路上で...」と驚きましたが、治安がいいから成り立っているのだと思います。

ルワンダでは銀行よりも圧倒的に携帯電話のパラソルショップの方が多く、携帯電話も普及している為、市民にとっては銀行よりも利用しやすいようです。日本ではアプリ操作や電子マネーに抵抗感を感じる人が多いのですが、ルワンダでは大人も子供も気軽に使っているようです。

手続きは携帯電話端末で完結し、手続き完了通知もSMSで受信出来ます。但し送金額の上限はあるようです。銀行と比較し手数料も少額というのもメリットの一つのようです。

私は以前日本の銀行で働いていて、アプリ開発等にも携わっていた事があったので、その経験から考えるとモバイルマネーのオペレーションには色々驚く限りです。

例えば、「本人確認をしていない(パスワードのみで代替?)」、「店員がお客さんの携帯電話端末を代理操作している(日本では代理操作は厳禁)」、「オペレーションが店員のみの操作で、再鑑者によるダブルチェックが無い」、「店員は個々で出納管理簿を付けていない(恐らくはSMSの電子データをセンターで一括管理?)」...等々。

また、非常に簡単な手続きで便利ですが、逆にウイルス対策やなりすまし対策が気になります(日本の銀行はセキュリティが厳しく、こんな簡単なプロセスのシステムは恐らくリリース出来ないのではないかと思われます...)。しかし、ルワンダ人の友人に聞いたところ、「ルワンダはそこまでIT技術が発展していないから、セキュリティ対策は現状レベルでも問題ないんだ」という説明に妙に納得してしまいました。

今のルワンダだからこそ成り立つシステムかもしれません。もしくは重厚長大な日本のシステムと比較し、最先端なのかもしれません(日本でもプロセス簡素化の動きはあり、「アフリカの簡便なシステムに倣った方がいいのではないか?」という意見も耳にしたことがあります)。

将来日本でも、ルワンダと類似のより簡便なシステムが開発されるかもしれません。

■インターネット事情

インターネットも同通信会社が担っています。とある統計ではルワンダのインターネットカバー率は驚異の90%超という話を聞いたことがあります。

ただ、地方などではまだ通信事情が良くない為、各通信会社が各地の通信状況を調査し、改善に奔走しているとの事です。日本でも携帯電話が出始めの頃は似たような話があったかと思います。

また、時間帯によっても通信速度が大きく異なります。明け方や夜中は利用者が少ない為か通信速度が比較的速い(=通常利用可レベル)のですが、日中など利用者が多い時間帯は非常に遅く、通信も途切れがちになります。さらに、天候も非常に大きな影響を与え、雨が降ったり雷が鳴り始めると通信は頻繁に途切れます。「あ、雷が鳴り始めたからネットの調子が悪くなるかも...」といった感覚です。

実はこの世界日記の投稿も、アップロード作業だけで3日位掛かっています(通信速度が遅い中、天候にも影響されつつ、途中で何度もシステム停止と格闘しながら...)。

次回は、携帯電話の利用状況に加え、利用の課題とコミュニケーションで私が工夫している事を紹介します!

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