JICA海外協力隊の世界日記

クズ・ザンポーラ♪ 幸せの国の農場便り♪

全体報告計画会議♪

クズ・ザンポーラ♪ 世界中の皆さんこんにちは♪

 今回(こそ)は配属先であるNational Seed Centre.の本年度半期経過報告・次年度計画会議と言う事でブータンに有る全8農場及び施設のスタッフが一同に集まり、全体会議が全3日間の日程で行われました♪

 当初は今年に入って早々に行われる予定でしたが、会場施設や参加スタッフの都合で開始が延びてこのタイミングに至りました。

 この会議で自身も昨年迄の活動と今年の活動予定を発表しましたが、配属先では本年度の経過報告と次年度の生産計画についてを話し会う事になります。

 ちなみに、このタイミングで半期の全体会議を行うのは、ブータンの年度切り替えが日本と異なり6月で終わり、7月で始まる為、この1月が後期の開始月になる為によります。

 この全体会議の日程構成的には会議の1日目が配属先の各農場と各部門の発表者からこれまでの半期の経過報告行い、2日目はそれらの発表者から次の半期の計画を行う事になり、3日目は個々の部門の計画の相互確認を行い、計画する生産量・経費・利益等を確定させます。

 今回、参加していて感じたのが。夏に行われる年次報告会にも参加しましたがそれよりも、この半期の会議の方が計画会議を兼ねている為、配属先の方向性も含めてとても重要に感じました。

 私達は(何度も書きますが)野菜や果実の栽培を主な仕事にしているのでは無く、その野菜や果実の種子や苗を作っている為、生産を開始して(種を蒔いて)から、野菜の場合でも早いモノは半年で種が採れるモノも有れば、1年以上かかるモノも存在します。

 果実に関しては苗木として出荷できる状態にするまでに台木を用いる方法も含めて、2年近くはかかるので、現時点でのブータン農家の需要やトレンド、社会的要因等の様々な与件を考慮しながら、決める事になります。

 そして、昨年から私達の配属先の全農場で採種品目の見直しの一環で採種品目の拡大が行われました。

 この拡大は新しい品種の導入による拡大では無く、これまでは一つの作物を一つの農場で管理する様な状態から、全農場を対象にして栽培可能な品目品種は栽培する形にして、もし一つの農場で欠落しても、なるべく他の農場で生産種子をフォロー出来る様な状況になりました。

 このことから、ブータン国内の需要から供給する側の農場の割合も今回の計画で決める事になります。

 また、自身の農場はそれまでイチゴ以外は全部野菜の種子を採種していましたが、今回の会議で柑橘類(日本の温州みかん系統)の苗木の試験的導入が話される事になりました。

 この理由は今まで柑橘類を生産している樹木が数十年と経過している為、これらの木の転換期をこの数年で行う事を国が方針として唱え、自身の農場のそれまで枠だけが残っていたグリーンハウスやガラスハウスの改修が今年から行われるのに合わせ、この施設に柑橘類の苗木の試験栽培を行う方針となりました。

 この流れは自身の農場以外でも柑橘類以外で行われています。そして、これは野菜種子が栽培上の坪効率が悪く、利益率が低くて経費率がとても高く、逆に利益商材となる果実導入の移行に拍車がかかっている事になっています。この事は農場経営において、利益の確保として必要なのですが、需要に応えれない商材は海外の種子の輸入に頼る事になります。

 個人的に現在、ブータン国内で流通している野菜や果実の約半数を自国内で種苗生産を行っている中で、海外に種子生産を依存する流れとなるのはブータン農業において一つの懸念事項にはなるだろうと考えます。

(ただ、日本では殆どの野菜の種子は海外で生産されております。さらに、今の日本の様に異常気象による野菜類の収穫量の低下時は輸入として海外から野菜を依存する事になっています。)

この写真は全体会議の最後に撮った集合写真となります。

 この3日間を通じて個人的に感じた事は、発表により自身の活動する農場が増えた事になった事と、その活動状況によって購入希望しているモノの予算が配属先で大きく与えられた事。また、上で書いた様に野菜栽培以外の活動も行う事になった事になります。

 また、配属先に対して感じた事は私達の配属先が採種栽培を行う上での経営の維持と自国内で種子の供給を行う社会的責任の維持の両方に挟まれているのだと感じました。

 そして、組織の計画策定の際に興味深いと感じたのが。

 この国の人事評価方法としてIWP(Individual Work Plan:個人業務計画)と言う計画を年度前(6月)に計画して、年度が終わるとその評価を二次上長が行い、その状況によって個人のタイトルが昇降する制度が有ります。これは欧米の公務員評価制度に近く、ブータンの公務員もまた同様にこの制度に基づいて個人の業務計画が決まります。

 また、この計画は評価をし易くする為に業務評価を数値化して表記されております。私達の配属先もまた国の機関(農林省)の傘下でスタッフは皆、公務員となりその場合の個人評価には採種目標となる作物の生産量の計画(ターゲット)と実質的な生産量の差、計画した予算の売上から経費を引いた利益額がどれくらい計画に近いかで評価される事になっています。

(細かい計画策定ルールや過程評価については今回の説明では省いてますが、上長との評価面接でその辺の事も話し会われるそうです。)

 つまり、今回の会議で各部の代表者の個々人のIWPの進行確認と計画修正を行う事になり、それらの各部の代表が一同に集まって個々の計画を確認し合い、調整し、組織としての活動計画が確定されます。

 この個人評価制度や報告会及び計画会を組織として行っている事に最初は驚きましたが。この事はブータンが自立して、ある程度のガバナンス形成をし、国家として成り立っている部分なのだと感じます。

 けれども、この私達の組織は先にも述べた様に国の傘下ではあるのですが、政府からの予算が殆ど下りず私達が生産する種子や苗を農家や海外へ販売した売上によって成り立つ、言わば独立採算制を取っている事も有り、国の機関としては組織経営の危機意識を持っている様に感じます。

 ただ、この危機意識が個人的には自身の配属先が思っていたよりもシッカリとした組織の要因なのかもしれないと感じ、改めて、今回の3日間で決まった計画で次年度は(自分が今年の10月に帰国となるので、殆ど次年度はブータンに居ませんが...)進む事になり楽しみだなぁと感じました。

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