JICA海外協力隊の世界日記

デリー下町生活

学校の映画鑑賞会

 先週の土曜日に学校で映画館を貸し切って生徒と一緒に映画を観に行きました。参加生徒は150~200人くらい、全校生徒の3分の1くらいです。(ちなみに、参加しない生徒は学校で授業)

 映画は「12th Fail」という実話をもとにしたもので、12年生(高3)の時に行われる全国共通テストに落ちた貧しい家庭の主人公が、努力を続けて難関のインド警察(日本で言えば国家公務員上級試験)に合格するストーリーです

 この映画は観客からの評価が96%ととても高く、インドでは大ヒットしています。私はすでに観ていたので2回目でしたが、ダンスシーンは1回もないのに、主人公の真っすぐな人柄、誠実さに観客がぐいぐい引き付けられます。家族や友達、恋人が彼を支えるのですが、愛情をもって心から応援していることが観ている側に伝わってきます。

 映画では「リスタート」という歌が何回も流れました。何回失敗しても主人公はあきらめない。どんな環境でも勉強を続ける。失敗しても、またスタートする。くじけない。

 字幕はなく、ヒンディー語だけだったので、こんなこと言ってるんだろうなと想像しながら観るしかないのですが、感動して涙が出るシーンがいくつもありました。

 さて、子どもたちの様子ですが、バスや車で分乗して映画館に行き、スタッフからポップコーンやコーラを受け取って、みんなうれしそうでした。ただ、今回、小2から高1までの生徒が参加したのですが、低学年の子には難しかったのか、おしゃべりしている子がたくさんいました。それでも、主人公が恋人に「I love you」というシーンでは「オオー」「ヒューヒュー」と反応があったり、最後の方で主人公がIPS(インド警察)試験に合格して友人たちに祝福されるシーンでは大きな拍手が沸き起こったりました。

 さすがインド人と思ったのは、上映中に生徒が追加のポップコーンや飲みものを注文していたことと、終わってからソフトクリームを買って食べている生徒が何人もいたこと。先生方も注意しないから、どうってことないんだろうなと思いましたが。

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 ああ、いい映画だったなあと思って帰りましたが、なんと夜8時に先生から生徒に上のようなメールが送られました。

「いくつか映画について質問します。
1、この映画から何を学びますか?
2、主人公がいつも真実を言おうと決心するのは正しいことですか?
3、お金持ちだけがIPS(上級警察官)になるということについてあなたはどう思いますか?
4、この映画からあなたの人生に取り入れたいことを5つ挙げなさい。
5、あなたは自分の明るい未来のために何をしますか?また、どんな戦略をたてますか?
6、自分の勉強計画を立ててください。」

 いやー、気合の入った質問ばかり。日本だったら、何もないか、せいぜい感想文だけだろうなと思いました。

 生徒からは「嘘をつかない。あきらめない。環境は重要ではない、目標こそが重要だ。友情も環境も自分には影響しない。環境によって自分の決心は変わらない。」というメッセージが続々と届きました。映画を観せるだけでも素晴らしいと思いましたが、学校はもう一歩踏み込んで考えていたんですね。

 私は映画の後、子どもたちと一緒に映画の挿入歌「リスタート」を歌って楽しかったのと、学校側の「生徒に多くを学ばせたい」という気持ちを感じて、また一つこの学校が好きになりました。

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