2015/07/10 Fri
活動
たった一人、されど一人
ブログでもたびたび紹介しているわたしの活動の一つである「両親学級」は、胎児の発育発達、妊婦健診、母乳育児、妊娠中の食事、離乳食、乳幼児発育発達などのテーマで全4回のコース制で実施しています。そして、このたび無事に1クールを終えることができました。全4回を全て受講した妊婦さんは1人。たった1人、されど1人。ここまで来るのに、幾度となく打ち合わせを重ね、改善を繰り返し、それでも失敗しながら試行錯誤の連続でした。わたしたちチームの思いは、妊婦さんに伝わったでしょうか。今クールの参加者は、合計144人、そのうちの思春期妊婦48人。なんと3人に1人は思春期年齢の妊婦だったことがわかりました。
この両親学級の参加者は、会場である診療所で妊婦健診を受けている妊婦です。このような集団を対象とした予防活動を行うときに必ず気になるのは、参加できない人の存在、つまり妊婦健診を受けていない人たちです。集団を対象としつつ、そこから漏れてしまう個人にもアプローチしていくのがわたしたち保健師の鉄則です。しかし、妊婦健診に来ている人にさえ正しい知識やケアの提供が十分でない、ここホンジュラスの現実の中で、妊産婦死亡率を少しでも下げるためにと選んだのが、まずは集団を対象とした活動でした。集団対象でも、一人ひとりのケアは欠かさないというのが、わたしのせめてもの保健師心でしょうか。気になる妊婦さんには、声をかけるようにしています。個別の関わりや問題が大きくなって集団の健康課題になるわけですから、やはり基本は一人ひとりのケアなのです。
活動するほどに見えてくるホンジュラスの厳しい現実と、ボランティアとして限られた任期で可能な活動、そんなジレンマと戦いながら過ごす毎日です。幸せなことに、活動先には恵まれ、特に思春期チームのメンバーは同じ方向を向いて活動を進めていくことができますし、わたしを一人の専門職として扱ってくれる貴重な存在です。そんな仲間に恵まれたことに感謝しながら、そろそろ雨季が始まりそうなホンジュラスで、今日も元気に活動しています。
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