2017/09/18 Mon
活動
サモアでの歯科衛生士としての活動その①
今回のテーマは、【活動~サモアでの歯科衛生士としての活動その①~】についてご紹介します。
私の活動期間は来年の3月までです。残された時間があまりないため、5月から自分が一番サモアでやりたかった活動を行っています。私のサモアでの活動は大きく分けて2つあります。まずは、1つ目はサモア国立病院で歯科医師やセラピストから依頼のあった患者の歯石除去を行い、セラピストに技術支援すること。2つ目はサモアの小学校や幼稚園に巡回し歯磨き指導を歯科医師、セラピストと一緒に行う公衆衛生活動です。サモア国立病院で上記の活動を6か月間見学しているうちに、自分のできるサモアでの活動は何かを考えました。日本ではむし歯が進行してどうしても保存できない場合、最終治療法として抜歯になりますが、サモアでは中程度のむし歯は抜歯する傾向にあります。まだまだ治療技術が十分ではありません。毎日のように子ども達が大声で泣いている姿を見ます。子どもの泣き声や暴れる姿を見ながら、どうにか私のできることは無いかと模索していました。私は歯科衛生士であるため、むし歯の治療をすることはできませんが、むし歯を予防する技術を提供することはできます。そこに重点を置き、治療から予防への発想に切り替えるきっかけ作りを行うことに決めました。まずは1校ですが、公立の小学校でサモア隊員の活動する小学校を選定しました。その中で1年生のクラスを6年間ずっと歯科健康教育を中心に継続管理を行うというものです。日本ではすでに行われていますが、サモアではまだそのような動きは見られません。
まず、第1回目は歯科健診と歯磨き指導を行いました。やはり思った通り、進行したむし歯が多く処置を要する子ども達がたくさんいました。まずは、歯科健診の結果を保護者に返却することから始めました。病院の活動を見学していても、用紙を配ることは見たことがありません。子どもの治療費は無料ですので、病院に来てもらえれば治療することができます。第1回目の健診結果を担任の先生に説明して用紙を渡し、保護者に説明して用紙を渡してもらうようにしました。しかし、それだけでは治療に来てもらえませんでした。そこで、2回目の歯科健診で変更した点があります。サモアでは保護者が必ず通学時の送迎をしなければなりません。その為、遠方から通学している場合は保護者がそのまま小学校が終わるまで残っている場合があります。そのような保護者がいる場合は、直接カウンターパートがサモア語で治療の必要性を説明し、受診勧奨を促しました。その結果、翌日治療に来てくれた子どもがいました。
次に歯磨き指導です。1回目は、歯ブラシの持ち方、動かし方、歯を磨くポイント、歯ブラシの交換時期について説明しました。当日、私が簡単なサモア語で説明するつもりが、あまりにもサモア語が下手すぎたため、見かねたカウンターパートが代わりに分かりやすく説明してくれました。
2回目は、歯垢を赤く染め出し、歯垢で汚れている部分を手鏡で確認し、用紙に色を塗ってもらいました。これまで、手鏡を使ったり、クレヨンで絵を描く機会もなかった子ども達にはなかなか難しい行為だったようです。しかし、楽しそうに実習してくれたので、今後も練習して慣れてもらおうと思います。その後、自分で工夫して歯磨きをしてもらいました。
最後に、2回目で初めて行った事は歯磨きをしようと促すポスター作りでした。しかし、歯磨き指導の説明でも記載したとおり、絵を描く機会がほとんどなかった子ども達にはとても難しい課題だったようで、歯磨きしている絵を紙に描くことが上手く出来なかったようです。このことから、以後時間がある際に練習してもらい、歯磨きのポスターも作成していこうと考えています。
次回は11月にこのプログラムを行います。3回目は、食べることに重点を置き内容を作成していこうと考えています。このように日本の子ども達の様子を基準にプログラムを設定しているので、サモア人には簡単にできない事がたくさんあります。私としては新しい知識や技術を提供したいと思うためチャレンジしていますが、結果ズレを感じることもあります。これまでの2回のプログラムは、成功よりも失敗が多いですが、失敗から学ぶことが多く、そこからどのように修正していくのかを考えることがとても重要ではないかと現在は感じます。「失敗は成功のもと」このことわざはその通りですね。更に子ども達が楽しみながら歯について関心を持ってもらえるプログラムをカウンターパートと作成していきますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。子どものキラキラの目が素敵だと思いませんか。そんなサモアの子ども達が私は大好きです。
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