2019/08/07 Wed
#12 I miss ......
世界大会の切符を持って台湾に来ているU12フィジー野球代表チームですが、思わぬ問題にぶつかっています。
それは…食事です!
フィジーの食生活はキャッサバやタロ芋を主食とした芋中心のものです。
※キャッサバ:日本で人気のタピオカの原料
https://ja.wikipedia.org/wiki/キャッサバ
米や麺もフィジーにはありますが、子どもたちは安くてお腹の膨れる芋をよく食べます。
場所は変わって先進国台湾。
世界大会と言うだけの良いホテルに泊めさせて頂いております(勿体無すぎるくらい)
◎つ星ホテルのレストランでほぼ毎食ビュッフェという状態です。
「子ども達は”普段なかなか食べられない肉(ローストビーフ)や豪華なスイーツに群がる”だろうな」と言う首脳陣の予想は初日から裏切られました。
選手のお皿を見るとフライドポテトやチキンナゲットばかりが溢れ、食後にはアイスクリームの前に長蛇の列が出来ます。
すぐさま『ポテト(ばかりを食べるの)は身体に良く無いから止めよう』という指示がコーチから出たものの、コーチ陣の目を盗んでは皿にポテトを盛る子どもたち。
頭を抱えているとフィジー人の同僚(CP)が「キャッサバを食べれてないから寂しいのかも…」と言いました。
「そう言えば俺もカレー食べたいわ」とインド系フィジー人のコーチも続きます。
台湾という事で久々の和食に上機嫌だった私は、彼らのソウルフードがここには無いことに気付けていませんでした。
闇雲に禁止するばかりに選手の気持ちを理解出来ていませんでした。
翌日、選手を数人集めて栄養指導をしてみました。
「ポテトも食べていいからバランス良く摂取しよう」と言い、タンパク質や炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルについて自分なりに伝えてみました。
肉と野菜を中心に自分の皿を見せて「色んな色の物を食べてみよう」と勧めました。
「新しいものにも挑戦してみよう。俺たちはチャレンジャーだから」そう選手達と誓いました。
しかし選手は次の日も同じようにポテトの山を積み上げアイスを頬張ります。
再び頭を抱える私に一人の選手が言いました。
『ケントの言うことは何となく判るけど、よく知らないものは食べれないよ』
そりゃそうです。彼らはまだ12歳。
協力隊で外国に渡っている私と同じ感覚を求めてはいけなかったのです。
選択肢が増えたところでいつもと同じものを食べるのが人間。
何だか判らないものに挑戦するよりも、安全だと判っているものを選ぶのは当然のことです。
特に食べ物となれば本能的に慎重になるのかも知れません。
やっと子どもたちの気持ちに近づけたその日、隣に座った選手に自分の皿にのっているブロッコリーを分けてみました。
「意外と美味しい」
「フィジーのブロッコリーと一緒だよ」(フィジーでは高価なので希少なのかも)
すると「あいつケントの皿のものを食べているぞ!」と選手がやって来てあっという間に山盛りだったブロッコリーが片付きました。
挑戦にリスクや不安はつきもの。
誰もがそれを恐れる。
それなら自分が大丈夫なものを少し提示してあげれば良い。
小さな成功体験が次の挑戦への自信を生むから。
指導者として勉強させられた瞬間でした。
今では、箸で蕎麦を食べるのに挑戦している選手がいる程です。
一部の選手の中では味噌汁が人気です。
親元を離れた2週間の旅で、野球以外の事もたくさん学べるように挑戦していきたいです。
NO SWING
NO HIT!!!!!!!
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