JICA海外協力隊の世界日記

青年海外協力隊 セネガル滞在記 ~Pas à pas~

試行錯誤しながら

就学前の子どもたちのクラスを受け持つ先生と行った授業です(école6)。

小学校には、就学前の子どもたちを集めて学習しているところもあります。今回は、その小さい子どもたちに向けての活動です。

いつものように、授業見学をさせてもらってから、休み時間に「算数・仏語に情操教育の要素を取り入れた授業」の提案をしました。

その先生はとても興味をもってくれて、すぐにその授業を一緒にやってみたいと話してくれました。

私が提案している授業は低学年くらいの子どもたちが基礎を固めるために、あそびを取り入れながら学ぶというものが中心なので、幼稚園の先生には受け入れてもらいやすかったかもしれません。

今回行ってみたのは「数の仲間探しゲーム」です。先生が示した数と同じ個数が描かれている札(例えばリンゴ1つと鉛筆1本など)をみんなで見つけます。

今日は3までの量の仲間探しです。

絵も子どもたちに描かせます。小さい子たちに向けてなので、なるべく単純な形を示し、見本を用意してまねして描くことができるようにしました。

子どもたちは苦戦しながらもミニ黒板に頑張って描いていました。

それから、ござの上に札を置いて、みんなで見つけます。

でも、やはりルールがわかっていない・・・みんなただ札を取りたいだけで、何が正解の札なのかわかっていない様子です。

立ち位置を変えたり札の数を少なくしてみたりといろいろ工夫してみます。

しかし、先生も頑張って説明してくれているのですが、うまく伝わりません。

「この子たちには難しいわ」と先生。

「今日は初めてなのでこんなものです。繰り返しやってみたら少しずつわかるようになると思います」と私。

私は、今回はここまでにして、また次に行ってくれるとよいなと感じていたのですが、

「ちょっとやり方を変えてみていいかしら」と先生が私に聞いてきてくれました。

「もちろんです!」先生の言葉に私は期待をしながら見守っていました。

先生は子どもたちをみんな端に寄せ、一人ずつ札を取る作戦に変更しました。

「1を見つけられる人は手を挙げて」

先生の問いかけに「マダム!マダム!(先生)」といつものように自分を当ててほしいと手を挙げる子どもたち。

先生は一人示し、その子が札を取ります。合っていたらその子にみんなで拍手。そして、先生は子どもに札を持たせたまま、1の量の数を持っている子は右端に、2の量を持っている子は真ん中に、3の量を持っている子は左端に順々に座らせていきます。

間違った子はもう一度やり直し。戻ってまた次のチャンスを待ちます。

そして、全員札を取り終わり、数の分類ができたところで、先生は「1の数を持っている子は札を挙げて」と仲間分けができているか確認させていました。

やり方を変えてみて、今回は子どもたちもやることを理解して活動している様子が見られました。

私はこの流れを見ていて、とてもうれしくなりました。

提案した授業を目の前にいる子どもたちに合わせて先生が工夫してくれたからです。

これは私が理想にしている形でもあります。

「授業のやり方は一つではないこと」

「目の前にいる子どもたちがよりよく理解できるようになるにはどうしたらよいか考えて授業を工夫していくこと」

失敗してもいいと思っています。大事なのは試行錯誤しながらよりよい授業に向けて考え続けていくことだと思います。

今回、先生と一緒に授業を工夫して作り上げていくことができ、とてもうれしい気持ちになりました。

授業を終わった後にいつものように先生に聴き取りをします。

「次に授業を行うとしたらどのように改善していくか」の質問に、先生は数の量を把握させるために「子どもを前に出させて示す」、「黒板に絵を描いて示す」、「実際に教室にあるもの(窓やバケツなど)の個数を数えさせて説明する」・・などたくさんのことを話してくれました。

日本の学校にいるときも、子どもたちが授業の内容をよりよく理解できるようになるにはどうしたらよいか、同僚の先生方と話し合いながら行ってきました。

常に試行錯誤しながらですが、その考える時間はとても楽しいものであり、子どもがうまく授業にくいついてくれたときには、にやけてしまうくらいうれしく、先生方と喜んだものです。

セネガルでも同じことができる。

同じ教師という立場で先生方と考える時間を作ること。

授業についてこれからも先生方と話していく時間を大切にしていきたいと思っています。

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